「意外と知られていない」太田道灌の伝説を子どもたちとミュージカルに 川崎市のボランティアが企画
「不吉な夢で築城を断念」との伝説
道灌は、現在夢見ケ崎公園がある幸区の加瀬山の地理的条件を気に入っていたが、山頂で宿泊した際、ワシにかぶとを持ち去られる夢を見て、不吉だと築城を断念したと伝えられる。夢見ケ崎の地名はこの伝説が由来とされ、地元の子どもたちにも親しみ深い存在だ。ミュージカルのタイトルは「太田どうかんと夢の城」で、道灌とこのエリアにあった旧日吉村の人々が織りなすドラマだ。
実行委代表の嶋田正邦さん(52)は昨年11月、地元の日吉中学校区地域教育会議でイベントを開催。その中で企画した「夢の日吉城コンテスト」には、学校で道灌を学ぶ子どもたちが思い描く城を俳句や絵などで表現した作品が多く寄せられた。しかし、新住民が多いエリアでもあり、大人たちには伝説が意外と知られておらず、嶋田さんは「もったいない」と感じたという。
まず市立幸高校が物語と歌の発表会
嶋田さんに演劇の経験はないが「演技だけでなく、ダンスや歌もあり、子どもたちにも取っ付きやすいのでは」とミュージカルに着目。国会図書館所蔵の文献を調べるなどして、台本を書き上げた。作曲は吹奏楽曲などを手がける福島弘和さんに依頼。本年度の幸区提案型協働推進事業にも選ばれた。
川崎市立幸高校の協力も得て、まず来年3月に、同校生徒らによる物語と歌の発表会を幸市民館と同日吉分館で開く。4月から本格的に出演者を募り、2025年3月の公演を予定する。
クラウドファンディングで資金募る
「家庭の経済状況による子どもの体験格差が指摘されているが、どんな家庭の子も参加できるステージにしたい」と嶋田さん。実行委副委員長の舘勇紀さん(45)は「ミュージカルで子どもは活躍の場ができ、大人は地元の歴史を知ることができる。お互いハッピーになれる」と話す。実行委は長く地域に愛される作品を目指し、将来的には道灌以外の題材を取り上げることも考えているという。
クラウドファンディングは「Syncable」のウェブサイトで「川崎市のこどもたちと一緒にミュージカルを作ろう!~太田どうかんと夢の城~」として実施。スポンサー支援も募っている。問い合わせはメール= k.dream.musical@gmail.com =で受け付けている。