子どもの偏食、4つの理由と対処法を解説します 「食べなさい」無理強いは禁物

(2024年2月14日付 東京新聞朝刊)
 野菜嫌い、好きな物ばかり食べるなど、子どもの偏食に手を焼く親は多い。無理に食べさせようとするのは逆効果で、親子ともにストレスになってしまう。どう対処すればいいか、専門家に聞いた。

山口健太さん(本人提供)

機能、感覚、時間と量、知らない

 「子どもは2歳ごろから偏食が出やすくなる。食べない理由に応じて、対処することが大事」。保護者や教育関係者向けの食育研修の講師で、子どもの偏食に詳しい山口健太さん(30)は話す。

 山口さんによると、偏食の理由は大きく分けて、

  1. 機能的
  2. 感覚的
  3. 時間と量
  4. 知らない

の4つ。

 子どもは機能的に食材をかんでのみ込む力が弱く、離乳食で食材の大きさや硬さを少しずつ変え、食べる力を育てる。まだ未発達なのに、食べられない大きさや硬さの物を与えると、口から吐き出してしまう。

 感覚的な理由は、五感が鋭い子によくみられる。人より味を強く感じる、料理の見た目が気持ち悪く感じるなどし、食べられない。

 食事とおやつの時間と量も大事だ。おやつの頻度や量が多すぎるとご飯が進まない要因に。知らない食材や料理に、興味を持てずに食べないケースもある。

 「まずはどの理由か探って、食べられるように工夫してほしい」と山口さん。機能的な理由なら、無理はせずに今食べられる大きさや硬さの食材に、少しステップアップした食材を1割ほどまぜて食卓に並べる。

形状を工夫 大人が食べてみせる

 感覚的な問題は、煮る、焼く、揚げるといった調理法や、千切りや薄切りといった食材の形状を工夫。食べられる料理から好みを探り、少しずつ食べられる食材を増やしていく。

 おやつは午前と午後の2回、時間を決めて与えすぎないこと。食事のときも、好きな物が多くあるとそればかり食べるので、大皿よりも1人分ずつ個別に盛り付けると良い。

 「どうせ食べない」と、苦手な料理を出さないケースは多いというが、それではいつまでたっても改善しない。毎回食卓に出し、たとえ食べなくても、大人が食べる姿を見せることが大事という。

 初めての料理を食べないときは、どんな食材が入っているか、栄養があるかなどを話し、興味を持つきっかけにしよう。もし、やりたいと言ったら、一緒に料理を作るのもお勧めだ。自分で作った料理は食べてみようという意欲につながりやすい。

個人差であり、わがままではない

 東京都の女性(38)は、小学4年の長男(10)が味に敏感で、うどんやオムライスなど決まった物しか食べられないことに悩んでいた。「子育て相談で話しても、『いつか食べるようになる』と言われるだけ。具体的なアドバイスがなく、どうしていいか分からなかった」

 食育の講習会で長男の感覚を尊重する大切さを学び、「これは食べられそうかな」と聞きながら料理に取り入れるなどし、少しずつ口にできる物が増えたという。

 「食べられる種類や量は個人差があり、食べないのはわがままではない。大事なのは、『食べなさい』と無理強いしないこと」と山口さん。子どもがプレッシャーを感じ、余計に食欲がなくなってしまうからだ。

「会食恐怖症」のきっかけにも…

 山口さん自身、高校時代に野球部の合宿で無理な食事トレーニングを課された結果、人前で食事ができなくなる不安障害の一つ「会食恐怖症」を発症。数年かけて克服した。

 この経験から、2017年に一般社団法人 日本会食恐怖症克服支援協会(東京)を設立。子どもの偏食に関する相談も多く、これまで延べ1000人に対応した。偏食の子どもが、学校の給食指導がきっかけで、会食恐怖症になったケースもあったという。

 「努力しても効果はすぐに出ない。イライラせず、楽しく食事するよう心掛けることが大切。無理のない範囲で工夫しながら、食べられるものが少しずつ増えていけばいいと、長い目で考えてほしい」と話す。

コメント

  • 5歳の娘が、離乳食の時は何でも食べてくれたのに、2歳過ぎたあたりから野菜が全くだめになりました。 ある程度大きく切れて楽になったと思ったら、急に。カレー、ポテト、コロッケ、子供が好きであろうもの
    ちびママ 女性 30代