「子どもの権利条約広めたい」小学生の訴えで母子手帳に 世田谷区で来年度から
好きな条文は「きみには、生きる権利がある」
母子手帳への掲載を訴えたのは、世田谷区在住で白百合学園小6年の坂口くり果さん(12)。子どもの貧困や搾取問題に取り組む認定NPO法人「フリー・ザ・チルドレン・ジャパン」のキャンプなどに参加し、差別や虐待から子どもの基本的人権を守る国際条約の存在を知ったといいます。
条約は、各国政府や団体が訳して普及していますが、「フリー・ザ・チルドレン・ジャパン」版は子どもが主語。坂口さんが特に好きなのは、第6条「きみには、生きる権利がある」、第8条「きみは、世界で特別な一人」、第12条「きみには自分の意見や気持ちを周りに伝える権利がある」です。
自治体が独自に編集できる母子手帳 世田谷で以前は掲載
同時に、貧困や暴力で苦しむ子どもがいるのは海外だけではないことにも気付きました。「この条約を多くの人に知ってほしい」と考えた坂口さん。昨秋、予防接種を受けたときに母子手帳を見て「全ての親が持つ母子手帳に載せられたら」と思い付きました。
坂口さんと母親が区に問い合わせると、以前は掲載していたこともわかりました。母子手帳は最低限の掲載内容を厚生労働省が規定していますが、自治体が独自で加えることもできます。世田谷区は、2010年度版まで子どもの権利条約を掲載していましたが、ページ数を減らすレイアウト変更で削っていました。
「『守られてる』と実感したら、いじめも減ると思う」
坂口さんは、活動するNPOや同区の風間穣(ゆたか)区議を通じ、今年8月に保坂展人区長に面会。9月の区議会定例会で取り上げられ、保坂区長は「来年度版から必ず条約の記載をするよう指示をした」と答弁しました。世田谷区は毎年8000~9000冊を配布。条文すべては困難ですが、来年度版から条約の骨子を掲載する予定です。
坂口さんは「子どもにも大人と同じ権利があるんだなと分かった。子どももこの条約を知って『守られているんだな』と実感したら、いじめをすることも減ると思う。みんなに広げていきたい」と話していました。
子どもの権利条約
1989年11月20日に国連で採択され90年に発効。日本は94年に批准した。前文と本文54条からなり、子どもの生存、発達、保護、参加などの包括的な権利を実現・確保するために必要な事項を具体的に定めている。
◇「フリー・ザ・チルドレン・ジャパン」が開発した子どもの権利条約に関する教材はこちらから。
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