人の手によって守られる渚と資源<PR>

 豊かな海を未来に引き継ぐことを目的に推進する日本財団「海と日本プロジェクト」の一環として、昨年、東京湾において「子どもたちの海の体験機会を守るプロジェクト」が実施されました。同プロジェクトでは、東京新聞「海の子ども報道局―少年少女海洋調査団―」に任命された6名の子どもたちが、東京湾の今に迫りました。

少年少女海洋調査団に任命された子どもたち

「子どもたちの海の体験機会を守るプロジェクト」DAY3

 昨年8月23日、「海の子ども報道局―少年少女海洋調査団―」が向かったのは、葛西臨海公園(江戸川区)。同公園内には、東京湾を望む砂浜「西なぎさ・東なぎさ」があり、この渚について、東京湾の生態系に詳しい海洋生物生態研究家の風呂田利夫さんは「ここは人工の渚(干潟)です。人の手によって造られ、守られています」と説明します。

 1980年に公園の整備が始まるなか、自然環境を回復・保全するために東西2つの人工渚が整備されたそうです。東なぎさは立入禁止区域となり、多くの野鳥が羽を休める場にもなっています。

渚で捕まえた生物の観察をする様子

 西なぎさでは、前日から仕掛けていた小型の定置網を引き上げたり、たも網を使って波打ち際の魚も追いかけるなど、子どもたちはマハゼ、シラタエビ、マルタウグイ、マゴチ、クロダイなどを捕まえました。釣りが趣味の子は「これは、ニゴイだよ!」と、他の子どもたちに教える場面も。「この人工渚(干潟)のように、東京湾の他の場所でも干潟を造れますか?」と風呂田さんに積極的に質問するなど実際に体験することで興味が高まったようです。風呂田さんは「波が穏やかな場所(砂が流れにくいため)で、使われなくなった埋立地に溝を掘り、溜池のようにしておけば、海水が出入りして潮の満ち引きによって干潟にする方法があります」と教えてくれました。

小さなカニを手にする子ども

 体験取材を通じて、子どもたちは東京湾の再生に向かうための大きなヒントを得たようです。

海のためにできることがある

 

紙製の容器に盛られたランチセット

 その後、一行は葛西臨海公園にある「CRYSTAL CAFE」で昼食を楽しみました。すると、料理や飲み物の容器が、紙製であることに気づきます。その理由を、同カフェを運営する㈱ゼットンの後上大介さんが説明してくれました。「未来の海のために、海洋汚染につながるプラスチックではなく、紙のお皿やストローを使っています。紙製の容器を使用することは、使い捨てプラスチックを減らし、海を守ること、地球を守ることにつながると考えています。今後はお店で使用した紙製容器などをリサイクルし、紙のコースターを作ろうと進めています」。

リサイクルために紙製容器を洗う様子

  “海のために、リサイクルをする”。その言葉の真相を取材するため、子どもたちは日本製紙関東工場(埼玉県)へと足を伸ばしました。

日本製紙関東工場でリサイクル体験

使った紙が、新しく生まれ変わる過程を取材する様子

 ここでは、古新聞や古雑誌、古段ボールなどが、板紙(段ボール原紙、ジグソーパズルや本のケースなどの原紙に再利用される)にリサイクルされる仕組みを取材。紙の製造などには、大量の川の水を使用しますが、「使用した水は、微生物処理などによって元の川の水よりもきれいにしてから、川に戻しています」(同工場柳澤智孝さん)

工場の排水処理設備を取材する子どもたち

 その川は流れ流れて東京湾へと注がれるため、子どもたちは“リサイクルは、東京湾の再生にもつながる”ことに気づきました。

 


〈「子どもたちの海の体験機会を守るプロジェクト」DAY1・DAY2の模様はこちら〉

子どもたちの目に映った「東京湾の過去と今と未来」<DAY1>

多摩川から見えたのは、未来の東京湾の姿 <DAY2>


提供:日本財団「海と日本PROJECT」