コロナで家庭はどう変わった?緊急アンケート結果 「夫婦の意識の差が…」戸惑いの中、外出自粛でプラス面も「見逃してきた子の姿に気付けた」
95%が「変化があった」 意識、子ども、食習慣…
変化したことで最も多かったのは「意識」(71.6%)で、「子」(67.9%)「食習慣」(53%)「家族関係」(40.3%)と続きました。子の変化で「大きく変わった」と感じている人の割合が高かったのは、「生活リズム」「学力・学習習慣」「友人関係」でした。
家族関係にプラスの変化
変化に戸惑う日々ですが、アンケートでは、良かったと感じる変化についても書いてもらいました。
■中2の息子と話がはずむように
糸井千穂さん(42)=東京都練馬区、パート=は「中学2年の息子と夫が朝走るようになり、私も自転車で並走。陸上部の息子と話がはずむようになった」と喜びます。朝ラン後の洗濯を息子の担当にしたところ、責任を持ってやってくれるようになったそうです。
■家族の時間が増え、会話も
2児を育てるパート勤務の女性=名古屋市、50代=も「家族の時間が増え、会話が増えた」と感じています。高校、大学、と子どもが自立して離れていく日がどんどん近づいていると実感していたコロナ以前。「その日の前に家族として貴重な時間を持てた。この後、経済の混乱を乗り越えられたら、きっとこの時期を懐かしく思い出せると思っている」と振り返ります。
他にも、父と娘、母と息子など会話が少なくなりがちな思春期の異性の子と話す機会が増えた、という声がいくつもありました。
■見逃してきた娘の姿に気付けた
在宅勤務になった木村雅喜さん(41)=葛飾区、フリーの設計エンジニア=は「平日、長時間同じことを繰り返して遊ぶ小学3年と5歳の2人の娘の姿が、土日に父親の前で見せる姿とは違って新鮮だった」と振り返ります。「今まで見逃してきたことに後悔や焦りを感じるが、そのことに気付けてよかった」
■家族だんらんの時間が増えて幸せ
2人の娘を育てる内田ありさん(43)=千葉市、フリーランス=は、夕食を早めにしてデッキで食べたり、家族だけでバーベキューをしたりしているそうです。「家族だんらんの時間が増えたのは幸せなこと。私自身も料理がつらくならないように、みんなでつつけるホットプレート料理を取り入れたりと工夫しています」。家族4人で一緒に映画を見たり、同じ漫画を回し読みして楽しんでいるという内田さんは「自粛生活が終われば、このゆったりとした時間も減り、子どもたちはそれぞれ学校や部活に忙しくなるかもしれません。この時間は今だけなのかな、と大事にしている」と話します。
意識の変化
■PTA活動がなくなってスッキリ
2児を育てる専業主婦(41)=世田谷区=は「大きなプラスの変化がたくさんあり、書き切れないほど」と振り返ります。仕事で帰りの遅かった夫(44)が在宅勤務になり、毎晩家族みんなでご飯が食べられること。小学3年の長女と5歳の長男の3つずつの習い事がなくなり、時間と体力に余裕のできた子どもたちの好奇心に広がり出たこと。自分自身も「子どもの習い事の送迎や、PTAと幼稚園の活動がなくなったことで、日々の生活を丁寧に送れるようになった。無駄な用事や人間関係、習い事、外食など、過剰だったことがすべてスッキリして気持ちがよい。これからは本当に大切なことだけに集中して暮らしていけそう」と言います。
■夫が家事育児の大変さに気付いた
夫が在宅勤務になった派遣社員の女性=さいたま市、40代=は「夫が食事・洗濯を全部担当したことで、子育てと家事を担う私の大変さに気付いてくれたのはよかった」と感じています。
一方、長い休校や外出自粛で家族が家にいれば、家事や育児の負担は大きくなります。
■在宅でも家事をしない夫に不満
パート勤務の女性=都内、40代=は、「在宅勤務とはいえ、『○時~○時は勤務時間』という枠は崩したくないのに、夫から『家にいるんだから家事もできるよね?』という圧を感じる」と言います。夫婦ともリモートワークで家にいるため、家事ができるかどうかの条件は同じはずなのに、現実的には自分に比重が偏っていることに納得がいきません。特に気になっているのは食事作り。「夫は自分の仕事が終わっていても、私が食事を作り始めるまでのんびり待っている。『家事は手伝う立場』という姿勢を崩さない彼と本当はきちんと話し合うべきだと思うが、自粛生活中に険悪になるのもつらいので言えずにいる」
■テレワーク+2児の育児で疲弊
一人で育児を担っている女性会社員=台東区、40代=は「テレワークをしながら小学3年と園児の育児で本当に追い詰められている。家事も停滞気味」と疲労をにじませます。
家族関係のマイナスの変化
さらにつらい声も届いています。
■子どもに物を投げつけてしまった
2児を育てるパート勤務の女性=江戸川区、40代=は「子どものわがままや兄弟ゲンカを静かになだめられず、物を投げつけてしまった」と打ち明けます。子どもに謝り、「これは虐待になるから、SOSの電話をして」と伝えると、上の子(10~12歳)が「これはお母さんのせいじゃない。コロナのせいだ。電話なんてしない」と答えたとのこと。「私は母親失格。自己嫌悪でいっぱいです」と自分を責めています。
■1歳の子を見る夫 ストレスが心配
1歳10カ月の子どもが4月から入園した保育園が1週間弱で登園自粛になり、その後5月末まで休園となったというパート勤務の女性=千葉県松戸市、30代=は、自分自身は出社しないとできない仕事のため、週2日の夫のテレワーク日に出勤する形をとりました。「子どもを見ながら仕事をする夫は、 決まった時間に会議などがあるため、子どもが泣いたり甘えたりすると仕事がはかどらず、疲れをためている。子どもが大好きな夫だが、ストレスを抱え込んでしまっているので申し訳なく思う」と心配します。
■体力を持て余していて、寝付かない
2歳~小学3年の4児を育てる会社員の男性=堺市、40代=は「子どもは4人ともほぼ家か庭にいるので、体力が有り余り、夜なかなか寝てくれない」と寝かしつけに悩んでいます。長男(小3)・次男(小1)の就寝は午後10時、三男(4)・長女(2)にいたっては深夜0時近くなることも。「9時を過ぎたら就寝の声かけを始め、最後は怒って泣かせて無理やり寝かせていましたが、このやり方だと自分も嫌な気持ちになり、子どもも妻も不満がたまる状態になったので、今は声かけにとどめています」と苦労を語ります。
■再婚した夫と、前夫との子が険悪に
ステップファミリー(再婚家庭)の声も届いています。葛飾区の専業主婦(39)は、再婚した40代の夫と、前夫との間に生まれた息子(19)との関係悪化に悩んでいます。仕事が休業になり家にいる夫と、パチンコ店でアルバイトをする息子が、ことあるごとに対立。怒号が飛び交うケンカに発展することもあり、「普段は言い合っても、お互い外の世界があることで流せていたのに、今は流せなくなっている」と話します。息子の働き方や態度を否定するような夫の言動や、夫との間に生まれた3歳の娘の前で怒鳴り合う2人に心を痛めています。「私にとっては大事な子ども。この人とはやっていけないかも、と思い始めている」と打ち明けます。
男性の回答には、子どもとの距離に戸惑う声も目立ちました。
■仕事中、子どもがそばに来てしまう
さいたま市の会社員=30代=は「テレワーク中に子どもがそばに来てしまう。止めようとするママと子どもがケンカになる」。東京都東久留米市の会社員=40代=は「これまでにないぐらい子どもと過ごす時間が多くなり、接し方や怒り方に悩んでいる」。
同居する義両親との距離の取り方に悩んでいるという回答もありました。
■義母の担当だった夕食、作ったら…
70代の義父と60代の義母と同居する会社員の女性(33)=静岡県富士市=は「いつもは義母に夕食の支度を任せていたが、子は休校、私は在宅勤務になり、自分も作るように。どこを作って、どこを任せるかが難しかった」と苦労したそうです。
子どもの変化
子どもの学習や生活リズムも課題です。
■中1息子の学習、どこまでサポート?
3児を育てる森垣しのぶさん(48)=新宿区、会社員=は「学校からの課題に取り組む子どもを見守る中で、数学などの新しく学ぶ内容につまずく中学1年の長男をどこまでサポートするかで悩んだ」と言います。「内容を理解していないと、間違えた問題を解き直しても正答にたどり着かない。親も一緒に考えるようになって改善したが、いつも通りの仕事量だったら難しかった」と言います。
■生活リズムが乱れ、学校再開が心配
フリーの編集ライターの女性=千葉市、40代=は、高校1年の長女について「もともと寝坊助だった娘は、休校になってからさらに起きるのが遅くなり、9時すぎまで平気で寝ています。昼前から夕方にかけて課題を行い、夜寝る前にも勉強をして、就寝は深夜0時すぎ。起きるのも寝るのも遅くなり、学校生活にスムーズに戻れるのか不安です」。
■進路を意識する機会が減ってしまう
中学2年の子を育てる専業主婦=台東区、40代=は、「通常であれば、中2の夏あたりからは高校見学やその後の文化祭などの行事への参加など、進路を意識する機会が増えてくる時期。このような状況で、受け入れる高校側が消極的になり、さまざまな機会が減ることを危惧している。 小6、中3、高3など大きな節目である学年だけではなく、どの学年にも変化の波があることを理解してほしい」と訴えます。
編集後記
「外に出ていれば見えなかったはずの夫婦2人の意識の差が、リモートワークで浮き彫りになった気がしました」。ある回答者の言葉にはっとしました。
この外出自粛期間中、家族の距離が密になったことで、良くも悪くも、これまでは直視せずに済んでいた何かが見えてきた家庭は多いようです。見えなかった面が見えるようになったこと、それこそが、一つの大きな変化なのだと感じます。
子どもと向き合う家庭の最前線からの声。喜びも悲鳴も埋もれさせず、社会に届けていきたいとあらためて思います。