ペットボトルのキャップを回収してワクチン提供 生物多様性を守るため、行動を変えよう 小学生が学び、新聞を作成 こどもSDGs教室
キャップ回収で雇用、寄付金を生み出す 朝日信用金庫
午前の部では、朝日信用金庫SDGs推進室調査役の松原美千代さんが「朝日信金×SDGs」の取り組みについて説明しました。松原さんは同信金が地域の人からお金を預かり、それを企業などに貸し出すことで、その企業が新しい技術や商品を開発し、豊かな暮らし、社会の実現を目指している点で、SDGsの目標と共通していると指摘しました。
そのほか、「地域社会のお役に立つ」「環境問題に取り組む」と計3つの課題に取り組んでいることを説明しました。
中でも環境問題については、ペットボトルのふたを回収する「エコキャップ推進活動」を16年にわたり、実施しています。2023年3月時点で、累計1億7413万個を回収しました。焼却処分をしなかったことで、1301トンの二酸化炭素を削減したことになる上、キャップの売却代金は寄付し、約20万人分のポリオ(小児まひ)ワクチンを提供したことになるそうです。
松原さんは「SDGsの実現には小さなことでも続けることが大事です。エコキャップの回収も16年継続してきたことに意義があります」と話しました。
またワクチンの提供先である東南アジアのラオスをこのほど訪問した平井利昭室長から現地視察の報告もありました。寄付先である「認定NPO法人 世界の子どもにワクチンを日本委員会」 (以下JCV)のラオスでは、一時的に多額の寄付もありますが、JCVのように継続的な支援が必要とわかり、同金庫の社会貢献活動の柱としてエコキャップ回収活動を継続して支えたいと考えているそうです。
海と陸の豊かさを守るためできること 環境再生保全機構
環境再生保全機構(ERCA、エルカ)の谷口あさひさんは「『生物多様性』について考えよう!」と題して講演しました。谷口さんはSDGsの目標達成期限(2030年)まで7年しか残されていないのに17ある目標のうち、世界レベルで達成できているものは1つもないことを指摘しました。
日本単独でも目標14「海の豊かさを守ろう」目標15「陸の豊かさも守ろう」など5つの目標で「深刻な課題」あり、とレッドカードを出されています。これらの目標は生物多様性の維持とも大きく関わっています。谷口さんは「私たちも生物多様性の一部で、その恵みに支えられています」と説明しました。
続いて背中に絶滅危惧種と書かれたTシャツを着た増子友広さんが登壇。
日本には3772の絶滅危惧種がいて、中にはコウノトリやトキ、オオクワガタなど身近な生きものもいることを説明しました。生物多様性が失われる理由として、私たち人間による生息地の開発や乱獲があります。また外来種が在来種を食べたり、生息地を奪ったりするほか、在来種と交配して雑種が生まれてしまう事例を挙げました。
篠原泰さんは生物多様性が維持されている目安の一つとして、タガメを紹介。タガメとその生息環境を守ることは、わたしたち人間も含めさまざまな生きものたちが支えあって生きることにもつながると話しました。
谷口さんはまとめとして、生物多様性を維持するため、私たちができることとして、エコラベル商品を選ぶこと、食品ロスを減らすことなど具体的な行動例を紹介しました。
その後、参加者は同機構が用意したタンチョウやアムールトラなど絶滅危惧種の折り紙に挑戦。展示されているジオラマと折り紙にも触れて楽しみました。
「!」「へえ~」を分かりやすく伝えよう 新聞の作り方
新聞作成は、読者部の東松充憲記者がアドバイスしました。東松記者はまず話を聞くこと、取材の際に驚き「!」や「へえ~」と思うこと、友達に伝えたいことなど心が動いた点、キーワードなどをメモしたり、印をつけておくことが大切と話しました。
そして新聞の役割は「大切なものを伝えること」で、写真や見出し、表や図を盛り込んでわかりやすくする工夫をし、「読む人の気持ちになってつくりましょう」と呼びかけました。
朝日信金の部に参加した足立区の小学4年生の槙一太さんは「ペットボトルみたいな身近なものがワクチンになるなんて意外で驚いた。キャップを捨てるのはワクチンを捨てているのと同じようなものだと気付いた」と話し、「命をすくうエコキャップ」という見出しの新聞を作りました。
エルカの部で「タガメはたいせつ」という見出しの新聞を作成した世田谷区の小学1年生の小野未晴さんは「難しかったけど楽しかった」と話してくれました。