「身近なSDGs」テーマに研究者から最先端科学を学ぶ つくば市の小学校でオンライン授業

林容史 (2023年1月23日付 東京新聞朝刊)
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ウェブ会議システムで研究者に質問しながら「身近なSDGs」を考える児童たち=つくば市で

 筑波研究学園都市に集積する研究機関の研究者から最先端の科学を学ぶ授業が、つくば市立二の宮小(園田浩美校長)であった。児童たちは「身近なSDGs(持続可能な開発目標)」をテーマに、ウェブ会議システムZoomを使い、その道のプロたちに疑問をぶつけた。

「気候変動が進むとご飯はどうなる?」

 20日の授業には2年生78人が4グループに分かれ、エネルギー、気候変動、海と陸の豊かさについて考えた。研究者6人が疑問に答えた。

 子どもたちは「どうして人間は木を切るのか」「なぜ地球は、石油を燃やして発電して発生した二酸化炭素(CO2)を吸収してくれなくなるのか」を調べ、研究者たちに「気候変動が進むと毎日のご飯はどうなるの」「動物を密売する人はいなくならないのか」などと質問していた。

 授業を受けた松崎茅(かや)さん(9つ)は「世界で今、何が起きているのか分かりやすく説明してもらえた」、高山悠(はる)さん(9つ)は「海のごみを減らすため、リサイクルやごみ減量など僕たちができることが分かった」と感想を話した。

 授業を担当した国立環境研究所の一ノ瀬俊明主幹研究員は「研究活動で派生したものを持続的に市民に還元していければ」と述べ、農業・食品産業技術総合研究機構の林健太郎主席研究員は「プロに出会うことで、『研究者になりたい』と子どもたちが夢を抱ける。それがなければ日本の科学は育たない」と語った。

 つくば市は2019年度に研究者から学ぶ授業を開始。しかし、この2年ほどは新型コロナウイルス禍で本格的な取り組みを見送っていた。来年度以降、市立小中学校、義務教育学校に拡大していく。市内には官民合わせて約150の研究機関・企業があり、約1万人の研究者が所属している。

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  • 教師のバント says:

    担当の林記者には、追加の取材によって一ノ瀬氏や林氏が研究職に就くまでの苦労、研究者の置かれている状況、博士号取得者の苦悩について報告頂きたい。一般人は悲惨な状況を知り得ていない。「国は理系学生増産にシフト」等とも聞こえてくるが、出口はあるのか?

    「本物の研究者に出会わなければ、子供は研究者になりたいという夢を抱けない」とあるが、その点は異議あり。私は今も趣味ではあるが研究活動に邁進している。小学生でファーブル昆虫記を読んで昆虫学者を目指した時、周囲には研究者の知り合いすらいなかった。確かに興味を持った時に関係者が近くに居れば好都合であるが、それは必要条件ではない。

    教師のバント 男性 50代
  • キガネムシ says:

    その前に研究者志望の学生が確実に就職できるように制度他を整えて頂きたい。なぜ優秀な研究者の卵が日本に残らないのか?理由を知りたいと思わないか?

    キガネムシ 男性 50代
  • キガネムシ says:

    私もかつて研究者を目指したことがあったので気になる内容である。児童生徒の興味・関心が収斂するのはいつ頃なのだろうか。小学生では一般的にはまだ早すぎる気もするが、個人差はあるだろう。

    よって記事のような試みは児童生徒に「自らを知る材料を提供する」意味で歓迎する。この「児童生徒の精神的な発達・分化が、いつから始まりいつ固まるのか」は我が国の学制(小中高大の区分等)や教育課程を再考する上でもポイントになるから、是非とも専門家がキチンとデータを出して文科省に提言して欲しいものだ。

    因みに私自身は小学校に上がる前から昆虫が好きで、今も採集・研究活動を同好者とともに楽しんでいる。

    キガネムシ 男性 50代

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