見上げてごらん 震災から8年ぶり満天の星 群馬・高崎のこども天文台、16日オープン

石井宏昌 (2019年3月10日付 東京新聞朝刊)
 群馬県高崎市が同市倉渕町の倉渕水沼公園に整備していた「くらぶちこども天文台」が16日、オープンする。東日本大震災の影響で休止していた天体観測施設の望遠鏡を移設し、震災から8年を経て、新たな施設として復活させた。市担当者は「バリアフリーに配慮し、観察しやすい新機能も導入した。家族や友人、恋人など幅広い世代に楽しんでほしい」と呼び掛ける。

肉眼で天の川が見える恵まれた環境にある「くらぶちこども天文台」

天体望遠鏡を改良、移設 子どもも見やすく

 移設した望遠鏡は、天文機器や宇宙観測機器などを手掛ける精密機器メーカー「三鷹光器」(東京都)が製造した口径30センチの反射式天体望遠鏡。

 1984年に市が1000万円で購入し、市中央公民館(末広町)の屋上にあった少年科学館の天文台で使っていた。だが、東日本大震災で天体ドームの回転部が損傷。修理不能で、望遠鏡と天文台は使用できない状態となっていた。

 移設に際して望遠鏡を改良し、観測したい天体を指示すると自動的に探す自動導入機能を加え、子どもや車いすの人も見やすいように接眼部分を延長する機能も付けた。移動式望遠鏡5台も追加した。建物は木造平屋24平方メートルで、天体ドームは直径4メートル。入り口にスロープを設け、屋内も段差をなくした。事業費は約3500万円。

子どもや車いすの人にも見やすいように接眼部を延長した望遠鏡=いずれも東京都高崎市倉渕町で(市提供)

「年間を通して天の川が見える」 夜に解説付き望遠会

 年末年始を除く水曜-日曜の夜に天体望遠会を行う。時間は季節により変更するが、3、4月は午後7~9時半に開く。天文知識や経験が豊富な天文ボランティアが天体望遠鏡の操作と星空について解説する。参加無料で事前予約も不要。終了の30分前まで受け付ける。曇天や雨天の場は中止で、当日午後3時にフェイスブックで告知する。

 市文化課の担当者は「倉渕地域は年間を通して天の川などが観察でき、天文ファンの間でも人気のある場所。以前の場所では観測できなかった天体も鮮やかに見ることができる。美しい星空と倉渕の魅力を満喫してほしい」と話している。