ブリキ製や黒い瓶、牛のブラジャーも!古河市の「牛乳博物館」

文、写真:宮本隆康 (2018年8月17日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる

 取っ手が付いたフラスコ形で、「牛乳五勺(しゃく)」と記された容器(高さ約12センチ)。コルクで閉じられている。理科の実験器具のような展示品を前に、親子連れら10数人が熱心に見入る。

明治時代のブリキ製の牛乳容器=いずれも古河市で

150カ国のコレクション約5000点

 担当者は「これは明治時代に、まだ牛乳瓶ができる前、ブリキでつくった牛乳容器だよ」と紹介する。

 ここは、古河市の牛乳メーカー「トモヱ乳業」の本社1階にある日本唯一の牛乳・乳業専門の博物館。1994年にオープンした。会社の創業者の故・中田俊男さんが50年がかりで、約150カ国から集めた酪農関連のコレクション約5000点が展示されている。

 館内には、各時代の世界中の酪農用具や牛乳瓶、牛乳パック、牛乳の製造装置などがずらりと並ぶ。

貴重な「紀元前2500年の容器」

 特に古い資料では、ギリシャで出土した紀元前2500年の牛の形のワイン入れ「リトン」のレプリカもある。古くからの牛と人の深い関わりを示す資料で、レプリカと言っても、世界に300点しかない貴重なものだという。

 国内の古い牛乳瓶コレクションでは、黒い瓶が目を引く。戦時中にガラスが不足し、着色した廃瓶を再利用したためとされる。酪農用具には、牛の乳房炎を予防するためのブラジャーも。横にある人間用のZカップよりも、かなり大きい。

 事務局の増田智彦マネージャーは「日本で、ここにしかない資料は結構ある」と胸を張る。乳業専門の博物館は世界的にも珍しいといい、国内外の研究者が訪れる。7月にはラオス、シンガポール、中国から食品メーカーや学生らが見学に訪れた。

 見学者は年間で5000人近く。夏休みの自由研究に使う子どもも多く、7、8月の見学者は全体の3分の1を占める。はとバスのコースにもなっている。工場見学の一部に組み込まれているため、近年の工場見学ブームで見学者は増えているという。

牛乳博物館の入り口

試飲もできます

 博物館とセットになっている工場見学では、単一工場では生産量が日本最大級のラインを見て、牛乳の試飲もできる。「今は(法律で)コーヒー牛乳と表示できなくなりました」「牛乳の紙パックの開け口と反対側には、触るだけで加工乳と区別できるへこみがあります」などと、豆知識も教えてもらえる。

 増田マネージャーは「牛乳について詳しく知ってもらえれば、もっとおいしく飲めるようになりますよ」と太鼓判を押した。

◇メモ

 牛乳博物館 東北自動車道館林ICから車で30分。JR古河駅から朝日バス、思案橋下車徒歩1分。日曜、年末年始休館。開館時間は原則午前10時から午後4時まで。牛乳博物館見学とトモヱ乳業工場見学はセットで、所要約90分。無料。原則3人以上のグループで申し込む。問い合わせは同博物館=電0280(32)1111=へ。

[元記事:東京新聞 TOKYO Web 2018年8月17日]

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