地域に本の扉開いて45年 絵本専門店「おばあさんの知恵袋」

(2018年11月13日付 東京新聞朝刊)
 東京都国分寺市南町の絵本・児童書専門店「おばあさんの知恵袋」が10日、前身のドイツ料理店の開業から45年を迎えた。先代は店を営む傍ら地域の子どもに読み聞かせをしており、元図書館職員で現店主の三田村慶春さん(68)も店内で親子向けおはなし会を開く。地域で本を通じたボランティア活動をする精神は、今も変わらず引き継がれている。
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三田村さんの絵本の読み聞かせを楽しむ親子連れ=国分寺市で

赤ちゃん連れの憩いの場「悩み相談できて安心」

 れんがの壁と木の扉は来店者を温かく迎える。中は天井まである本棚に懐かしい絵本が並ぶ。10月にあったおはなし会には、乳児と母親10組が参加。三田村さんが自作の絵本を読み、母親たちは童歌を歌って子どもたちと一緒に楽しんだ。

 母親たちは引き続き茶と菓子を手に談笑したり、ランチに出かけたりして交流。市内の主婦花木恵さん(35)は「友達ができ、世間話をするだけでなく悩みごとも聞いてもらえる。ネットで調べるより直接相談した方が安心できる」と話す。

 三田村さんは「子育てで切羽詰まったお母さんたちが一息つけるように」と願う。「大人の心が豊かになると子どもにも伝わる」と、大人が好きな絵本を持ち寄り紹介し合う「ビブリオ・パドル」も開き、店は世代を問わず人が集まる憩いの場になっている。

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れんがの壁と木の扉が迎える「おばあさんの知恵袋」

毎月第2・第4金曜に無料で「おはなし会」 

 前身の料理店は1974年に三田村さんの亡くなった母が始めた。母が病気になったのがきっかけで2002年に火を使わない書店に変え、三田村さんは定年退職後の10年から跡を継いだ。

 母は常々、「商売するだけではダメ」と言っており、料理店時代から学校に出かけて子どもたちに本の読み聞かせをしていた。三田村さんは図書館勤務時代から母の活動を手伝っており、跡を継いでからは店内で読み聞かせを始めた。

 「この店があるからここに住み続けたいと思ってもらえるような店になれば」と今後も地域の人たちをつなぐ店を続けるつもりだ。

 おはなし会は第2、4金曜の午前11時~11時半で無料。ビブリオ・パドルは第4水曜の午後7時~9時半で、夕食代含め700円。問い合わせは同店=電話042(324)2708=へ。

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