「誰だってうまくできないと落ちこむ。それでいいんだよ」藤沢で40回目の児童画展 上手な絵より良い絵を

吉岡潤 (2023年7月26日付 東京新聞朝刊)

子どもたちの絵や版画に囲まれ「幸せ」と語る鈴木さん=藤沢市で

 神奈川県藤沢市や平塚市の美術教室に通う子どもたちが仕上げた絵や版画、木工作品約500点を並べた児童画展が25日、藤沢駅近くの藤沢市民ギャラリーで始まった。40回目を迎え、教室を主宰する鈴木敬司さん(68)は「早かったなあ。長く続けることができて幸せ」と笑顔で語る。30日まで。

親子2代の生徒も 障害があっても

 横浜市出身の鈴木さんは大学卒業後、米国留学を経て、23歳のときに絵を教え始めた。今は公民館や民間のアトリエの計7カ所を回り、小学生を中心に中高生や展覧会を見て興味を持ったシニアを合わせ、5歳から80代まで約70人を指導する。子ども時代に学び、親になって自分の子を連れてくる参加者も。4分の1が障害者で、道具を貸し借りしながら一緒に制作を楽しんでいる。

 「上手な絵より良い絵を!」が一貫したモットー。「思うようにできなくても一生懸命にやることが素晴らしい。誰だってうまくできないと落ちこむ。でも人生ってそういうもの、それでいいんだよって。心や体の不調、たくさんの困難を乗り越えて、楽しみや自信を持てるようにしたいと思っている」

 児童画展を休んだのは、東日本大震災が起きた2011年とコロナ禍の2020年の2回だけ。「やってきたことは間違っていなかったのかなと思う。年齢も重ねて無理がきかなくなってきたけど、続けられる限り続けたい」と意欲を示す。

 午前10時~午後7時(最終日は午後5時まで)。ギャラリーは商業施設「ODAKYU 湘南 GATE」の6階にある。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2023年7月26日