「ポベポピップ パベパイ」四男語、悔しいけど妻は話せる〈お父ちゃんやってます!加瀬健太郎〉

(2022年12月2日付 東京新聞朝刊)

 「ポベポピップ パベパイ」と四男が言った。近頃の四男は、日に日におしゃべりが上手になっている。でも、言葉がオリジナルすぎて、なんて言っているのか分からない。そんな時は妻に聞く。悔しいけど妻は四男語が話せる。

 冒頭の四男の言葉も妻に聞くと、「『ポテトチップス食べたい』って言ってるの。なんで分かんないの?」とクールな顔で言う。残念ながら分からない。

 「『パベパイ』は『食べたい』で、『パベル』が『食べる』だよ」と動詞の変化まで教えてくれた。例えば、「イチゴ パベパイ」や「ブボウ(ブドウ)パベル」のように使うらしい。

 それでは、実際の会話を見てみましょう。

 先日、グミを食べていた長男に四男が言いました。「じゃんじゃん。グム パベパイ(かんちゃん。グミ 食べたい)」。他の弟には厳しいのに、四男だけにはすごくあまい長男が、「パベパイの?(食べたいの?)」と、グミを四男の口に入れてあげました。

 「アーリガントー(ありがとう)」と四男は言い、「グムキ?(グミ すき?)」と聞きました。「すきだよ」と長男が答えると、「ぼぼぼ(ぼくも)」と四男は言いました。

 こんなふうに、うちでは、なんとなく会話が成り立っています。

 そんな四男は早起きで、いつも朝6時前には目を覚まして、僕の寝床にやってくる。「パパねんね、ねんね」とトントン布団をたたいて、寝かせているふうにして起こしにくる。

 まだまだ寝ていたいところですが、あまりにもかわいいので起きることにしています。

加瀬健太郎(かせ・けんたろう)

 写真家。1974年、大阪生まれ。東京の写真スタジオで勤務の後、ロンドンの専門学校で写真を学ぶ。現在は東京を拠点にフリーランスで活動。最新刊は「お父さん、まだだいじょうぶ?日記」(リトルモア)。このほか著書に「スンギ少年のダイエット日記」「お父さん、だいじょうぶ?日記」(同)「ぐうたらとけちとぷー」(偕成社)など。12歳、10歳、5歳、2歳の4兄弟の父。これまでの仕事や作品は公式サイトで紹介している。