10歳の次男が「週末ぐらいは家でだらだらさせてよ」〈お父ちゃんやってます!加瀬健太郎〉
「ごはんができましたよ~。おきてくだしゃい」。朝6時、四男がお皿に白いものを載せてやってきた。「どうじょ、たべてくだしゃい」。白いものをくれる。
はっきりしない目と頭で「パンか」と口に入れる。「そんなにたべないでくだしゃいね」と四男うれしそう。妻の化粧用コットンだった。
梅雨時は大変。週末に雨なんか続くと、家の中に男の子4人、元気が余って、暴れたり、ケンカしたりする。
それが最近、長男は週末も部活なので1人分静か。「部活って、ちょっと寂しいな」と言うと、「まだ3人もいるよ」と妻。
そんな雨の週末、子どもに何したいか聞くと、「だらだらする日にしようよ」と次男。前の日も家だったので、外に行こうと誘っても、「平日は毎日、放課後外に遊びに出てんだよ、週末ぐらいは家でだらだらさせてよ」と、どっちが親か分からない。
「じゃあ、パパだけ散歩してくるわ」と揺さぶりをかけても、「いきなり個人行動する人は、小学校でも嫌われるよ」と言われ、結局、家でジャッキー・チェンの映画を見た。
見終わると、「よし、これで今日こそアイツ(長男)をやっつけてやる」。日頃から兄への不満をためこんだ次男が、興奮した様子で即席のカンフーの構えを見せた。
「修行して強くなったのは映画の中のジャッキー・チェンで、だらだら寝そべって映画を見てたあんたではない」と、いくら説明しても、次男は半信半疑で、ぎゅっと握りしめた拳を見ていた。
加瀬健太郎(かせ・けんたろう)
写真家。1974年、大阪生まれ。東京の写真スタジオで勤務の後、ロンドンの専門学校で写真を学ぶ。現在は東京を拠点にフリーランスで活動。最新刊は「お父さん、まだだいじょうぶ?日記」(リトルモア)。このほか著書に「スンギ少年のダイエット日記」「お父さん、だいじょうぶ?日記」(同)「ぐうたらとけちとぷー」(偕成社)など。12歳、10歳、6歳、2歳の4兄弟の父。これまでの仕事や作品は公式サイトで紹介している。