悪気のない「お母さんと来ますか?」に息子は…〈清水健さんの子育て日記〉47
息子の「初めて」僕の方が緊張
緊張しながらも先生の指示通りに口をあけたり、口をゆすいだり。痛くなったら手を上げてね!と言われていたけれど、上げるはずの手は、横になった体の下で握りしめられている。その姿を見ていると、なんだろ、たまらない気分になった。親だなって。
初めての歯の治療。何か抵抗があるよね。その気持ち、すごくわかる。僕も苦手だった歯医者さん。甘い親なのか、息子より緊張して、「初めて」の、その姿を見ている自分がいました。
講演会の後 届いたメッセージ
講演会の後に、話しかけていただいたり、メッセージをいただいたりすることがあります。「病気がわかってしまいました」。おなかには赤ちゃんがいて、今、病院の先生から、出産か治療か、宿題が出ているとのこと。大きな転移はなく、治療しながらの出産も可能、でも、先生によると、最善の方法ではないそうです。不安と決意がつづられていました。
決して僕への「どうしたらいいですか?」というメッセージではありません。2人の答えが出るまで話しあおう。そう話してくれたご家族と、話して話して話してほしい。間違いなんてないから。
僕には何もできないし、アドバイスなんてできません。でも、あえて人に話すことではないけれど、話したいときに話せる、そんな場所が増えればいいなと思う。ただ、悔しい。病気が悔しいです。
成長した息子 僕は親として…
今年もあと少し。この1年間で大きく成長した息子に、僕はどんな姿を見せられているのか。親として成長できたのか。子育て日記を通し、同じ子育て中の方、一段落された方から、多くのアドバイスもいただきました。みんなと会話できるこの場所に感謝です。ありがとうございます。
この時期になると、飾っている妻の写真を1枚、1枚、キレイにするのが僕たちの「いつも」。息子とふたり、その時の会話は多くない。それぞれに、妻に、ママに、この1年を報告する。
あるイベントの事前予約をしました。受付で担当の方が、「当日は、お母さんと来ますか?」。何の悪気もない言葉です。息子は、いつもより少し小さな声で「お父さんか、おばあちゃんと来ます」。その言葉を聞いて、担当の方がハッとしていました。何も悪くない。僕は、小さな声でも、しっかりとそう答えた息子を誇らしく思う。
僕たちにはママはいない。小学2年生、今、息子は多くを理解しようとしています。(フリーアナウンサー)
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