僕たちはシングルファーザー。決して「特別」ではない〈清水健さんの子育て日記〉50
子どもの成長は頑張れる力、でも…
息子の小学3年生がはじまりました。「宿題やった?」「学校楽しかった?」。そんな当たり前の親子の会話をしながら、親子で成長していける1年になればと思います。
シングルファーザー仲間の娘さんは、この春から中学生に。小学2年生のときにお母さんを亡くされてから、4年8カ月。野球をはじめた弟のために、お弁当のおにぎり、土日は夜ご飯も作ってくれる、心優しいお姉ちゃんです。
小学校卒業式、堂々と卒業証書を受け取る姿は頼もしく、でもやっぱり心のどこかで寂しくもあり、涙があふれたと、お父さんがメッセージをくれました。たくさんの思いがつまった涙。子どもたちの成長は何よりの頑張れる力、でも「申し訳ない」という思いも。正直な言葉ひとつひとつに心が切なくなる。
どこかで思ってしまう「ごめんな」
もちろんお母さんがいてもお弁当作りや弟の送り迎えもしていたと思う。誰も「悪く」なんてありません。それは「絶対」にそう言えます。そうわかっていても、どこかで娘さんに対して「ごめんな」って思ってしまう。寂しい思いをさせてはいないか、苦労をかけてしまっていないか。
お母さんのことはあまり言葉にしなくても、多くを感じているであろう娘さん。「お父さんに心配かけてはいけない」。もしかしたらそんなことを思わせていないかとも考えてしまう。卒業式後「お母さんは何て言っているかな?」と聞いてきたそうです。何と答えたのか、僕は、あえて聞かないようにしました。家族だけの特別な会話。僕なら何て答えるのか。想像しただけで、心がキュッとなる。
僕たちは決して「特別」ではない。みんなと同じ。でも、胸を張って「頑張っているよ!」って、大きな声で叫びたい。娘さんも、息子さんも、そして、お父さんも!
僕たちはシングルファーザー。子どもたちが親を成長させてくれています。
妻に見せていきたい「日常」の姿
それぞれの家族のカタチで過ごす春。息子の大好きなプロ野球も開幕しました。3年ぶりの声出し応援ありの球場で、顔を真っ赤にしながら興奮して喜ぶ姿を見られることがうれしくてたまらない。
何も特別ではない。ママはいない。もちろん、それは大きなことだけど、こうやって一緒に笑いあいたい!
しっかりと予習をしたはずなのに、知らない応援歌も登場してくる(笑)。周りをキョロキョロしながらも、みんなにあわせて声援をおくる。そんな「日常」の姿を妻に見せていければなと思う。
清水健(しみず・けん)
フリーアナウンサー。8歳の長男誕生後に妻を亡くし、シングルファーザーに。
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