子を持つがん患者の会がスタッフ募集 代表の西口さん「最後の仕事。自分がいなくなっても続くように」
5年前に「ステージ4」 悩み共有する会員は3500人超
2015年2月、西口さんはがんの状態で最も重いステージ4の胆管がんと診断された。当時は小学校入学を控えた一人娘もいる中で、生活のこと、仕事のことを相談できる場がなかった。2016年4月に、子を持つがん患者同士の仲間を募り、情報交換する場を設けようと、キャンサーペアレンツをインターネット上のコミュニティーとして設立した。同年9月に一般社団法人となり、共同調査の協力や資金提供などで協賛企業も増えた。登録会員は3500人超。がんになった親と子どもの物語を描いた絵本の出版など、活動の幅は少しずつ広がっている。
会員は原則非公開のネット上で自身の治療や生活をつづり、悩みを共有し合う。運営を担うのは西口さんを含めて5人で、患者以外もいる。サイトの管理や企業への営業などをしているが、西口さんがすべてに関わり、中心になっていた。
「一人で担うのは限界」患者から若者への発信も模索
「代表の思いで立ち上げたが、いなくなればなくなってしまう活動もある。一人で担うには限界がある。こういう団体が必要な人は常にいる」。この先も必要な誰かに届くように。さらには、患者からの主体的なアプローチも今後は重要と考えている。
一時的なキャンペーンで寄付を呼び掛けたり、グッズ販売をしたりしても、それはその時のインパクトで終わってしまう。「若い世代のがんへの理解を得るのにどういうやり方がいいのか。一緒に考え、患者にもプラスになる発信を」。患者に限らず、限りある命を、今をどう楽しんで活動できるかも大切なことだ。
募集するボランティアスタッフは、広報・PR、営業(事業開発)、経理総務。団体の方針を理解し、実務能力のある人材を求める。説明会は29日午後3~5時、東京都港区浜松町の株式会社ワークハピネスで。会場都合により定員50人。詳細は西口さんのブログ「35歳でのがん告知、最後の仕事。」参照。問い合わせはキャンサーペアレンツ事務局へのメールで。
[元記事:東京新聞 TOKYO Web 2020年2月22日]
〈2020年5月14日 追記〉「キャンサーペアレンツ」の発起人、西口洋平さんが2020年5月8日に亡くなりました。享年40歳。ステージ4の胆管がんと診断されてから、5年3カ月後のことでした。取材を続けてきた神谷記者が思いをつづりました。