三菱UFJ銀行、男性の「育休1カ月」を義務化 メガバンクで初、5月スタート

岸本拓也 (2019年4月19日付 東京新聞朝刊)

 三菱UFJ銀行は、2歳未満の子供を持つすべての男性行員に、約1カ月の育児休業の取得を事実上義務付ける制度を5月から始める。長期の育休取得の義務化はメガバンクでは初。「男社会」と言われる金融業界でも男性の育休取得を強く促す動きが広がってきた。

「部下が育休を取れているか」で上司を評価

 三菱UFJの新制度は、10営業日の短期の育児休業と、通常の有給休暇などを合わせて約1カ月の長期育休を促す仕組み。子供が生まれる6週間前をめどに、休みを取る時期や期間などを書いた計画書を直属の上司に提出する。

 上司は部下が計画通りに育休を取れるよう、職場での仕事配分などを調整する。部下が育休を取れているかどうかを上司の人事評価の対象とし、制度利用を促す。現時点で対象の行員は約1200人。同行は2016年度から男性行員に10日ほどの短期育休の取得を推進してきた。取得率は8割を超えたが、平均取得日数は2日にとどまっていた。厚生労働省の国内調査では、17年度に育休を取得した男性従業員の比率は5.14%。政府は20年度までに13%にする目標を掲げている。

 育休を取りたくても取れなかった男性は3割に上るとの民間調査もあり、企業は男性の育休取得に力を入れている。積水ハウスは18年9月から男性社員に1カ月以上の育休取得を義務付けた。日本生命保険は13年から6年連続で男性社員の「育休取得率100%」を達成している。

 メガバンクでは、三井住友銀行が1日単位でも柔軟に休める制度を取り入れた。みずほフィナンシャルグループは「男性の育休100%」の目標を掲げ、16年から育休が取得できる期限を出産後8週から2年に延長した。