川崎市のプール水流出 保護者有志が寄付募る 「95万円の個人負担はあまりにも酷」
渡部穣 (2023年9月10日付 東京新聞朝刊の一部加筆)
川崎市立稲田小学校(多摩区)でプールの水を流出させた男性教諭らに約95万円を賠償請求した市教育委員会の対応を巡り、抗議が寄せられている問題で、同小に子供を通わせている保護者らが、賠償を補塡(ほてん)するため寄付を募っている。保護者の一人は「負担を少しでも軽くできないかと考えた」と話している。
1口500円から 商店街にチラシも
川崎市教委は8月10日、賠償請求したことを公表し、同校が翌11日、メールで保護者に事態を伝えたところ、保護者2人が寄付の呼びかけを思いつき、「United for kids first事務局」として同月下旬から活動を始めた。
交流サイト(SNS)で事情を説明して寄付を呼びかけているほか、今月に入って近隣の商店街などでチラシを配った。寄付は1口500円からで、95万円を目標にしており、今月7日までに29万円超が寄せられている。活動に参加する保護者は現在6人。
ミスは誰にでもある 対策強化を
寄付を集める保護者の1人は「先生のミスであることは分かる。個人の責任を税金で賄うべきではないという市側の言い分も分かる。でもミスは誰にでもあること。95万円もの高額を個人に負担させるのはあまりにも酷。教師は忙しすぎるから、ミスも起きやすくなる」と指摘し「同じように感じる有志で助けてあげられないかということになった。寄付は、あくまで子どものため。先生に心配事があって仕事に打ち込めないのは困るので」と説明する。
活動している保護者に対してSNS上で中傷もあり、匿名にしているが「先生を助けられる窓口をつくってもらってありがとう」などという反応もある。
男性教諭がプールの止水をミスしたことについて、ある保護者は「マニュアルの作り直しなど、ちょっとしたことでも動きを決めておくなどの対策を、これを機に強化してもらえれば」と話していた。
【9月12日追記】United for kids first事務局は11日、想像以上の反響があり同日までに支援金67万8500円が集まったとして、寄付の受付を終了した。寄付した人には今後、進捗について直接連絡するとしている。
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