不登校のきっかけ、最多は「先生との関係」 かつての「友達」から変わった背景は?
竹谷直子 (2024年1月12日付 東京新聞朝刊に一部加筆)
不登校のきっかけで最も多かったのは「先生との関係」──。そんな調査結果をNPO法人が11日に発表した。過重業務で教員に余裕がないことなどが背景にあるとみられる。
「先生との関係」が36%
調査は、学校以外の居場所作りに取り組む「多様な学びプロジェクト」(川崎市高津区)が昨年10月から12月末、全国の不登校当事者や経験者、保護者らを対象に、インターネット上で実施。約2800人から回答を得た。
学校に行きづらいと思い始めたきっかけを当事者に尋ねたところ、「先生との関係」が36%で最多。「勉強はわかるけど授業が合わない」(35%)「学校システムの問題」(28%)が続いた。
かつて不登校だった30~50代の人に対する同じ質問では、いじめなどの「友達との関係」が最多で、「多様な学びプロジェクト」の生駒知里代表理事は「近年、不登校のきっかけに変化が起きている可能性がある」と指摘する。
保護者への質問では、不登校に伴ってフリースクールなどを利用した結果、94.9%が「支出が増えた」と回答。休職や転職など働き方を調整した人も7割以上に上り、「世帯年収が減った」と答えた人も4割近くいた。
教師に余裕がない学校現場
「多様な学びプロジェクト」は11日、オンラインで「不登校当事者の実態とニーズを把握し、官民共創でつくる効果的な施策とは」と題したシンポジウムを開き、教育関係者らが調査結果について話し合った。
「先生との関係」が理由の1位だったことについて、小学校教諭の松下隼司さんは「教師になってから一度も45分の休憩を取ったことがない。残業や持ち帰り仕事もある」と明かし、余裕がない学校現場の実情を訴えた。
保護者の鈴村結さんは「経済的負担を公的に支援してくれれば、国や自治体が応援してくれていると感じられる」と行政の積極的な支援を求めた。
文科省が発表した2022年度「児童生徒の問題行動・不登校調査」では、不登校の児童生徒は29万9048人で、10年連続の増加で過去最多を更新した。
コメント