〈大滝麻未さんの子育て日記〉6・次男出産から4カ月 WEリーグの理事に就任しました

(2024年10月23日付 東京新聞朝刊)

WEリーグ新体制での初理事会で=筆者は右から4人目

性別に関わらず尊重される社会へ 

 次男の奏音(かなと)が生まれてあっという間に4カ月。1、2カ月は泣いている時間が多かったですが、さすがは次男! まだまだ甘えん坊な長男の柚生(ゆずき)中心の生活にも慣れ、おもちゃのメリーを見つめるうちに気が付くと寝ています。育児で余裕がない生活から、奏音との時間を過ごしながらも少しずつ自分の時間を持てるようになってきました。

 そんなタイミングで、女子プロサッカーの「WEリーグ」理事就任の打診がありました。落ち着いてきたとはいっても、育児の真っただ中。不安がないわけではありませんが、迷わず「やります」と返事をしました。必要とされることはとてもありがたいですし、チャレンジし続けることは信念でもあります。そして何より、女子サッカーにこのような形で携われることがうれしいです。

 WEリーグのWEはウーマンエンパワーメントの頭文字で、加盟するクラブの条件を「女性役職員を50%以上置くこと」としています。リーグの理事会は、昨シーズン15人中7人が女性。しかし9月の役員改選で、女性は9人中3人と50%を下回り、海外から問題視する声が上がっています。私はもともと、「女性」「男性」とひとくくりにするのではなく、適材適所で担うべきだと考えています。ただ、特にスポーツ界ではルールとして義務付けなければ女性が増えていかないのも現実です。これまでの歴史が少しずつ変わっていく途上なのだと思います。

女性活躍を支える制度は道半ば

 私も母になり、「女性活躍」について今までとは違う視点で考えるようになりました。ママ友とよく話すのですが、子育てとキャリアの両立には大きな壁があると感じています。女性や男性の意識も世の中の当たり前も、少しずつ変わってきましたが、本当の意味で女性活躍を推進する社会の制度や構造がまだ整備されていません。

 時短勤務など限られた時間の中で男性と同じキャリアを歩む道筋はまだまだ見えないし、家族との時間を犠牲にしてしまうという心の壁もあると思います。そういう壁が一つずつクリアされ、女性も男性も同じように活躍できるような社会になるにはたくさんの時間がかかるのだと思います。

 時々、息子たちが大人になった頃の社会について想像します。その時には全ての人が一人の「人」として、性別や特性に関係なく尊重される社会に少しでも近づいていてほしいと心から願います。そんな社会の実現にほんの少しでも貢献できるよう、母親としても、女性としても、自分にできることを精いっぱい頑張ろうと思います。

大滝麻未(おおたき・あみ)

 1989年、神奈川県生まれ。女子サッカー元日本代表。夫は英国とイタリアのハーフ。0歳2歳の兄弟を日英伊の3カ国語で育児中。