発育ゆっくりな赤ちゃんのための母子手帳 「幸せ感じる」と好評
低体重に悩む母親「励まされた」
静岡県では、体重2000グラム未満で生まれた新生児のための母子手帳「リトルベビーハンドブック」(A6判74ページ)が使われている。一般の手帳は、発育曲線の目盛りの下限を1000グラムや2000グラムとしているものが多く、それより少ないと記入することができない。そのため、この手帳では目盛りをゼロからにした。
手帳は、静岡県立こども病院の新生児集中治療室(NICU)に入院した子と親のサークル「ポコ・ア・ポコ」代表で保育士の小林さとみさん(50)らが2012年に4500部を作製。NICUのある県内の病院などで配ってきた。
静岡市駿河区のパート富田友里子さん(28)は妊娠27週で出産した。長女(4つ)の出生時の体重は946グラム。当時は「大きく産んであげられなかった」と自分を責め、泣いてばかりいたが、この手帳をもらい、先輩ママからのメッセージに励まされたという。
配布予定部数は終了したが、今後は県と連携し、内容を更新して来年度からの再配布を目指している。
小林さんは「本来は、いろんな病気や障害に応じた手帳が必要。全国に広がるとうれしい」と話している。
月齢ごとの基準より「できた日は記念日」
「ゆっくりでも成長を大切に思い、幸せを感じられるようになった」。愛知県江南市でダウン症児向けの手帳を使い、5カ月の長男を育てる母親(35)は、こう話す。出産直後は不安からインターネットで大量に情報を集めたが、今は長男の寝顔を見てほほ笑む。
ダウン症の手帳は「子育て手帳 +Happy しあわせのたね」の名称で、B6判65ページ。東海地方を中心とするダウン症児の親のサークル「21+Happy」が4年がかりで作製し、日本ダウン症協会(東京)が7月に配布した。
ダウン症の特徴や他の親の体験談をまとめたほか、成長や予防接種の記録などを書き込めるようにした。一般的な母子手帳では「つかまり立ち」「歩く」「言葉を発する」など、月齢ごとにできるようになったことを答えるが、この手帳ではできた日を「記念日」として記入するようにした。
きっかけは「できない」と答えるつらさ
サークル代表で愛知県江南市の佐橋由利衣さん(44)の長男弘晃君(10)もダウン症がある。設問全てに「できない」と答えることに落ち込んだ自身の体験を踏まえ「できたことを喜び、親も前向きになれる手帳を作りたい」と考えた。
日本ダウン症協会が無料配布している。郵送の場合は、1冊100円の送料が必要。在庫がなくなり次第終了するが、日本ダウン症協会の公式サイトから無料でダウンロードできる。問い合わせは日本ダウン症協会=電話03(6907)1824=へ。