男性育休の「失敗談」に学ぼう 人事担当・上司・パートナーとの対話のポイント ”家庭の事情”は職場と共有する時代です
約200人の父親「パパ育コミュ」
「復職前に共働きのやりくりの事情を上司に伝えなかったせいで、忙しい役になってしまった」「復職後の働き方について、妻と話し合っておくべきだった」
育休を取った男性たちが画面越しに「失敗談」を語る。子育て中の父親ら約200人でつくるグループ「パパ育コミュ」が今春に開いたオンラインの会。7人が体験を伝え、これから育休を取得する男性らの質問に答えた。アドバイスの一部を場面ごとに紹介する。
人事担当 話してパタハラ防止
まず職場とのやりとり。男性の部下の育休取得を経験している上司はまだ少なく、育休を取る男性に対する嫌がらせ「パタニティーハラスメント(パタハラ)」が起きることもある。「事前に人事担当に制度を問い合わせておくと、上司への相談時にも力になる」
取得を申請する際、詳しい理由を伝える法的な義務はない。ただ、なるべく包み隠さず伝えた方が円滑に事が運ぶ。中でも、期間と目的は明確に上司に伝えたい。「妻が里帰り出産できないので産後1カ月サポートしたい」「上の子の世話があるので最低3カ月は取りたい」など、現時点での計画を伝えると、上司も調整しやすい。
上司 必ず復職前に打ち合わせ
復職前には、必ず働き方を上司と打ち合わせよう。家庭の事情や、どのように働きたいかを伝える。特に育休前より抑えた働き方をしたい場合は、育休中からその意思を伝えておくと、上司も心積もりができる。
復職後、希望する働き方とのずれが生じることも。例えば、家庭の事情で仕事をセーブしたいのに、上司が「休んでリフレッシュしたことだし、またバリバリ働く気だろう」と早合点し、育休前と変わらない働き方を求められる場合だ。「対話を重ねて事情を知ってもらうことが大事」
パートナー 取得前に目標共有
妻やパートナーとは、折に触れて互いの考えを伝え合うことが重要だ。取得前には、育休中の目標を決めよう。「一番大変な産後を2人でスタートする」「共働きなので、互いにワンオペ(1人で育児)ができるようになる」など。
復職前は、互いがどういう働き方をしたいか、子どもとどう関わりたいかを踏まえた話し合いが欠かせない。共働きの場合、園の送迎を分担するため、働く時間をずらしたり、年間予定を照らし合わせて調整したりすることが必要。一方が専業主夫・主婦の場合や、労働時間など働き方に違いがある夫婦は、より長く家庭で過ごす側が1人で家事育児を抱え込まない工夫もいる。日常的な分担に加え、「週2日は午後6時までに帰宅する」などの線引きをしておきたい。
すれ違いの原因は「対話不足」
起こりがちなのが、対話不足によるすれ違い。夫は「妻の負担減のために働き方をセーブしたい」と考えていても、妻は「仕事に重心を置いてほしい」と望んでいるケースもあれば、その逆も。「自分はこういう働き方をしようと思うけど、どう思う?」「あなたはどうしたい?」と言葉にして伝え合うことが肝要だ。
男性の育休取得推進講座などを手掛けるNPO法人「ファザーリング・ジャパン」(東京)理事の塚越学さん(46)は「仕事でよりよい結果を出すために、今は家庭の事情を職場とも共有する時代」と指摘。「育休中に病児保育や第三者サービスなど子育ての態勢を手厚く整えて実際に試し、そのマネジメントを夫婦で担えるようになってほしい」と話す。
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