児童手当の所得制限、自民も立民も「撤廃すべき」 少子化対策の柱、岸田首相は明確な答弁せず
「子ども予算の倍増」実現へ検討
岸田首相は「子ども子育て政策は最も有効な未来への投資だ」と繰り返しつつも「今の社会に必要とされる子ども子育て政策の内容を政府として具体化したい」と述べるにとどめた。
政府は少子化対策のたたき台を3月までにまとめ、経済財政運営の指針「骨太方針」を策定する6月までに子ども関連予算の将来的な倍増に向けた大枠を示すとしている。自民党幹部と野党第1党の立民代表が国会でそろって児童手当の所得制限の撤廃を訴えたことで、政府内では今後、実現に向けた財源確保など検討作業が加速する見通しだ。
昨年10月、高所得世帯は対象外に
現在の制度では、3歳未満に月額1万5000円、3歳~小学生は1万円(第3子以降は1万5000円)、中学生は1万円が支給される。所得制限は2段階で、親が一定の年収を超える場合は対象外になるものの一律月5000円の「特例給付」が支給され、さらに所得が高い場合は支給されない。
以前は高所得でも一律5000円が支給されていたが、昨年10月に支給対象外とされた。少子化対策を最重要課題と位置付けつつ、児童手当を縮減する岸田政権の対応に疑問の声が続出。東京都の小池百合子知事は、18歳以下に所得制限なしでの独自給付を表明し、所得制限を批判した。
「ばらまき」非難の自民が方針転換
民主党政権が「子ども手当」を創設して中学生以下に一律月額1万3000円を支給していた際、野党だった自民党は「ばらまき」と非難し、その後、所得制限を復活させていた。所得制限撤廃の要求は、これまでの主張からの転換となる。
児童手当の拡充案では増額や支給期間延長も浮上。自民党内には第2子は月3万円、第3子以降は月6万円への増額案があり、公明党や各野党も高校生までの延長などを主張している。
児童手当には現在、国と地方合わせて年間約2兆円がかかっている。抜本的な拡充には兆円単位の追加予算が必要で、財源確保が課題になる。
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