【続報あり】荒川区の産婦人科が突然閉院 理由説明なく混乱広がる 区に妊産婦から相談100件超 「良い先生だった」のに…

浜崎陽介、小形佳奈 (2023年5月11日付 東京新聞朝刊)

閉院した加藤産婦人科医院。明かりはついておらず、人の姿はなかった(5月10日撮影)

 東京都荒川区町屋の加藤産婦人科医院(病床数15)が突然閉院し、通院していた妊婦らに混乱が広がっている。区役所にも問い合わせが相次いでおり、区健康推進課が相談を受け付けている。

玄関前に貼り紙 電話は自動音声に

 加藤産婦人科医院のホームページによると、8日で閉院したとあり「分娩(ぶんべん)の予約をしていた患者には順次紹介状を送付する」「検査を受けた人には、結果が分かり次第郵送する」と記されていた。閉院理由などはなかった。医院の固定電話にかけると閉院を知らせる自動音声になる。

 医院を10日午後に訪れると、玄関前には閉院を知らせる貼り紙があった。

閉院を知らせる医院の貼り紙=いずれも東京都荒川区で

区が受け入れ可能な医療機関を案内

 医院に駆け付けた地元の自営業女性(50)は、妊娠25週の義理の娘が都外から通院していたという。「親戚も産んでおり、良い先生だった。代わりの病院を探しているが…」と困り切った様子だった。

 4月初旬に長女が里帰り出産した女性(47)は、診断書をもらうために電話し閉院を知った。「8日に医院に来て院長とも話せて、診断書はもらえた」と吐露。ただ、閉院理由の説明はなかったという。

 荒川区健康推進課には8日以降、通院していた妊産婦からの相談電話が多く寄せられ、担当者は「全体で100件を超えているのではないか」。産婦人科のある区内外の病院や診療所に受け入れの可否を聞き取り、妊婦からの相談に対しては受け入れ可能な医療機関を案内している。1カ月健診については荒川区医師会が区内の小児科にできる限りの受け入れを要請しているという。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2023年5月11日

【続報】閉園理由は「資金繰りの悪化と院長の体調不良」

加藤産婦人科医院の閉院について説明する荒川区のホームページ

 【5月11日追記】荒川区町屋の加藤産婦人科医院が突然閉院した問題で、荒川区は11日、医院と連絡が取れたとして、区のホームページ上で「閉院の理由は資金繰りの悪化と院長の体調不良」と公表した。(浜崎陽介)

転院先での再検査 荒川区が一部助成

 荒川区は、医院で健診を受けていた区内在住の妊婦が転院先で再検査が必要になった場合、費用の一部を助成する方針。通院していた妊産婦の受診先として、区内外の病院や診療所の案内を進め、産後ケアに関しても他の施設を紹介している。

 荒川区健康推進課の担当者は「妊婦の皆さんと直接連絡を取れるよう努めている。気持ちを落ち着けてもらい、一緒に新たな受診先を探していければ」と話した。

 加藤産婦人科医院は5月8日にホームページで閉院を告知。理由など詳細な説明はなく、急な閉院だったため、荒川区には妊産婦からの相談電話が多く寄せられていた。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2023年5月11日