〈産後パパ育休のポイント①〉1歳までに4回取れます 夫婦の途中交代も考えてカスタマイズを

海老名徳馬 (2022年10月17日付 東京新聞朝刊)
 父親が育児休業を取りやすくする「産後パパ育休(男性版産休)」などの新制度が今月から始まった。男性が出産や育児について学ぶ両親学級を開くなど、企業が育休取得を後押しする動きも広まる。男性の育休を巡る現状を2回に分けて見る。

図解 育児休業の新制度のイメージ

最長4週間を2回までに分けて取得可能

 新制度は、改正育児・介護休業法が4月から段階的に施行されていることに伴う改定。産後パパ育休は、子どもの誕生から8週間以内という母親の産休期間に、父親が取得できる新しい育休で、最長4週間を2回までに分けて取れる。

 子どもが1歳になるまで取得できる通常の育休も、分割して2回取ることが可能に。男性の育休取得推進に取り組む「育Qドットコム」(東京)社長の広中秀俊さん(44)は「自分に合わせて育休の取り方をかなりカスタマイズできる。自由度が上がったのが大きなポイント」と意義を強調。「多くの会社は3カ月の周期で決算があり、どの部署も忙しくなる。育休が小分けできるようになったことで、決算が落ち着いたら、などのように、自分が忙しくない時期に合わせて休みが取れる」と説明する。

取得率13.97%→2025年には30%へ

 2021年度の厚生労働省の調査によると、男性の育休取得率は13.97%。政府は、これを2025年までに30%にする目標を掲げる。「新制度で取得率は上がるのでは」と広中さん。男性の育休取得期間は51.5%が2週間未満という短さを問題視する声もあるが、「短期でもまずは1回取りましょうという改正。育休を取る男性が増えれば、自分もと考える人が増えるのでは」と話す。

 また、母親も通常の育休を2回に分けて取れるようになったため、夫婦が取得時期をずらして休みを交代できる回数が増えた。保育所に入れない場合などに育休を延長できる制度も、これまでは1歳と1歳半の時点からしか取れなかったが、夫婦が途中で交代できるようになった。

 自由度が高まった分、事前準備には注意を払いたい。広中さんは「自分で育休を組み立てるには知識もエネルギーも必要」と指摘する。スムーズに休みを取るには、会社も準備期間がある方がいい。産後パパ育休は取得の2週間前、育休は1カ月前が申し出の期限だが、「妊娠の安定期に入ったら、育休を取る可能性を会社に伝えるといい。半年程度あれば業務整理の時間が取れる」と助言する。

保育園に入るまで「夫婦で交互に取得」

 これまでの育休は、1歳までの長い期間に母親が休みを取り、父親は出産後や妻の職場復帰に合わせた短い期間の取得でフォローするというパターンが目立った。男性の育児参加推進を目指すNPO法人「ファザーリング・ジャパン」(東京)理事の塚越学さん(47)は「多くの夫婦はどちらが育休を取るか話し合わず、話したとしても妻が、あなたも取って、という程度だった」と話す。

 1歳までの間に父親は4回、母親は2回の育休を取れるようになったことで、「子どもが生まれる前に、両親で育休はいつ、どっちが取るか、という会話をしてほしい」と塚越さん。母親が産後に体調が良ければ、早めに職場復帰して父親が休むという選択肢も生まれる。塚越さんは「育休は子どもが保育園に入るまで夫婦で交互に取得するものになっていく」と制度の定着を期待する。

 次回は24日、企業内両親学級の取り組みを取り上げます。

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