〈古泉智浩さんの子育て日記〉10・「抱っこ!」には即対応 血縁なくても愛着を育みたいから

(2020年1月17日付 東京新聞朝刊)

箱をかぶって遊ぶ、ぽんこちゃん(左)とうーちゃん

おやすみの前は「となりのトトロ」

 里子のぽんこちゃんが2歳になりました。

 うちは夫婦で寝室が別々で、ぽんこちゃんはママのベッドの隣にあるベビーベッドで寝ています。夜の9時になると眠くなり、自分からおしゃぶりをしてママの寝室に向かっていたのですが、最近は僕の部屋で映画『となりのトトロ』のDVDを見ないと眠りません。

 夜の8時半を過ぎ、部屋を暗くして『となりのトトロ』を映していると僕も一緒に寝てしまいます。DVDが終わってしばらくしてから、僕が目を覚ましてぽんこちゃんをベビーベッドに運びます。それがうまくいかない時もあって、ベッドにおろした途端、目を覚まして「とっとろ、いい~」と叫び出します。そうなると再び僕の部屋に戻ってDVDからやり直しです。


〈前回はこちら〉9・2人のベッド狂騒曲 シーツはめちゃくちゃ、さらに事件が…


隣の布団で寝てくれればいいけど…

 夜中の3時にぽんこちゃんが夜泣きで目を覚まし、僕の部屋にやって来ました。僕は、人がそばにいるとあまりよく眠れません。妻がぎっくり腰になり、養子の男の子のうーちゃん(5つ)を寝かせられなかった時は、僕が睡眠薬を使いつつ一緒に寝ていました。

 今は、ぽんこちゃんを寝かせる時のために、ベッドの隣の床に布団を敷いています。そこで寝てくれればまだいいのですが、夜中に夜泣きで目を覚ました幼児は「パパこっち」と一緒の布団で寝るように言います。

 僕が最も恐れることの一つは、子どもたちと愛着関係が作れないことです。何しろ血縁の裏付けがないので、子どもとの間に愛着が育まれなかったら親子とは言えないと思ってしまうのです。血縁があっても、愛着が育まれなければ、その後の成長過程でいろいろな問題が生じます。

 両手を広げて「だっこ!」と言ったら可能な限り即応します。手が離せない場合は「ちょっと待って」と言って、用が済み次第抱っこします。とにかく、抱っこについては過敏と言えるレベルです。

「パパ、こっち」に眠れない一夜

 問題は夜中の来訪です。愛着を考えると、求めには絶対に応じたい。3時に現れて同じ布団で寝るように求められた日は、しばらく添い寝しているとすやすやと眠り始めたので自分のベッドに移りました。ところが、ちょっとするとまた1人の布団で泣きだし、「パパ、こっち」と呼ばれてしまいました。結局、ぽんこちゃんの隣で横になり、眠れないまま朝を迎えました。

 2歳になり成長したのか眠りが浅くなったようです。僕が再び睡眠薬に頼る日が来るかもしれません。(漫画家)