〈清水健さんの子育て日記〉19・二人で初めての山登り 張り切りすぎちゃって…
はじめは元気いっぱいだったけど
「1段、2段、3段…」。山道の木の階段を1段ずつ数えて登る。標高1125メートルを目指す、5歳の息子にとって初の登山。はじめのうちは元気いっぱいだったけど、張り切りすぎて途中、ベンチで休憩。「ぼく、おしゃべりしすぎちゃったよ」って。「大丈夫かな」と思っていたけど、やっぱり(笑)。ペースがわからないのも仕方がない。
〈前回はこちら〉息子と二人三脚 頼って、頼られて
ばあちゃんが水筒に入れてくれた温かいお茶を飲みながら、「どうする、下りる?」と聞くと、「登る! 大丈夫だから!」。「無理はしなくていいからね、しんどくなったら言うんだよ」と約束して登り始めたけれど、息子なりの意地があるんだろう。
おしゃべりする余裕もなくなって
木に彫られた「何合目」の標識。6合目からなかなか進まない。標識を発見するたび、「あとどれくらい?」と聞いてくるのは、疲れてきたからだろうな。「うーん、今、半分の半分ぐらいかな」。いつもなら「半分の半分ってどれくらい?」と、質問と答えのラリーが続くんだけど、この時はおしゃべりする元気もなくなって、1回で質問が終わった。
頂上から下りてきた人たちからの「ぼく、頑張れ!」の励ましも、はじめはニコッと笑っていたけど、余裕がなくなってきた。休憩も入れて黙々と歩き続けること2時間。着いた、頂上だ。
「頑張ったな!」。体を引き寄せて頭をクシャクシャとなでると、照れくさそうにニコッと笑う。「きれいだね」。その表情は頼もしく見えた。毎日の生活の中でイライラしてしまうこともあるけれど、こうやって休みの日に2人で出かけることができる。いろんな経験をしていきたい、この子の手を握って。
髪をセットする姿…そっくりです
朝のバタバタの時間。僕が洗面所で髪形をセットしていると、息子はじーっと見てくる。幼稚園にヘアワックスをつけて行くわけにいかないので、手にワックスをつけるマネをして、息子の髪を水でセット。慌ただしい中でホッとする時間です。鏡の前で息子なりにいろんな角度から確認しながら、前髪を横に流している姿は、自分自身を見ているようで笑ってしまう。
登山の時の息子との2人の写真を見て「やだね、そっくり」とばあちゃんが言うと、息子がまねをして「そっくりやな」と笑う。来月はママの命日。5年になります。その日をどう迎えるんだろう。心の準備なんてできないけど、今日も隣で、パパの髪形をまねするそっくりな息子がいます。 (フリーアナウンサー)