〈坂本美雨さんの子育て日記〉13・「怒る」と「叱る」

(2017年8月18日付 東京新聞朝刊)

水遊びを満喫している2歳の夏

 7月末に、2歳になった娘。毎日全力で生きている娘と、どうしてもこの頃ケンカになってしまう。イヤイヤ期だからというよりも、もうほとんど会話が通じているのに、言うことを聞いてくれない時のイライラをコントロールするのが大変だ。こっちが言っていることを分かっていながらわざとやる(もしくはやらない)場面で、つい腹が立ってしまうのだ。それに人への迷惑や周りの目、という要素が加わるとなおさら。

 以前(写真共有アプリの)インスタグラムで「本屋さんの店内で走り回る子を、人前で怒ってしまった…」と落ち込んだ投稿をしたら、200件以上のコメントを頂き、そのほとんどが共感や励ましであった。その中でとくに多かったのは「怒ったんじゃなくて、叱ったんですよ。それは正しいことだと思います」という内容で、私はもちろん肯定の言葉にホッとしたのだけど、はたしてあれは「ただ怒った」のではなかったか?と確信が持てずにいた。

 店内で走り回る子を叱った、というのは社会的には正しいけれど、正直に考えるとあの時の私はたぶん、怒ったのだった。店内で自分のリュックも置き去りにして追いかけなきゃいけない状況に、とがめても笑い半分でいる娘に、苛立(いらだ)ったのだ。その怒りを、叱りながら、ぶつけたのだ。本当に恥ずかしい。

 私は見かけやしゃべり方がほんわか系(?)に思われ、あまり怒らなそうというイメージを持たれているけれど、とんでもない。短気なんである。すぐにボォッと燃え上がる感情的な人間で、本当に気をつけなきゃいけない。冷静になって、どうしてダメなのか掘り下げると、こちらの都合だということが多い。意志の強い一人の人を、常に親に合わせて動かせるわけがない。実際は合わせてもらう場面が多いとしても、当然と思ってはいけないはずだ。

 今月は、書こうと思ってパソコンに向かったことと全く別の内容になってしまった。結論は、反省している、ということ。前向きに考えるとしたら、感情を対等にぶつけ合ってしまうほど彼女のことは「一人の人」と思っているし、正直に欠点を謝ればそれも分かって許してくれると信じているということ。

 娘の爆発的な成長と同じスピードでは成長できないけれど、母としてこれからもっと優しく広く成長できるはず。します、必ず。(ミュージシャン)