〈中倉彰子さんの子育て日記〉9・「三つの礼」を学ぶ
先日、静岡県で子どもを対象に開かれた将棋合宿「浜松錬成塾」に、講師として参加しました。3日間、お寺で寝食を共にしながら将棋を学ぶというもので、毎年この時期に行われています。
朝5時、和尚さんが鳴らす「振鈴(しんれい)」という鈴の音で目を覚まします。その後、皆で座禅。最初はモソモソと動いている子も次第にじっとしてきます。しばらくすると、全員が「警策」という長い棒でピシッ!と肩をたたかれ、身が引き締まります。将棋は長い時間、盤の前に座るため、座禅はよい訓練になります。
私は入門クラスを担当。簡単なルールが分かる子どもが対象です。
礼儀作法も実力のうち
「将棋には『三つの礼』という大切な礼儀があります。最初は『お願いします』と言ってから始めます。では、次はなんだと思う?」と私。すると、A君の答えが「強いですね~」。今から、そんなヨイショを覚えなくても(笑)。
二つ目の礼は、玉を詰まされた方が「負けました」と言葉を発し、一礼すること。悔しい気持ちを抑え、潔く自分の負けを認めることが、将棋では大事な礼儀とされています。勝った方は、礼を返します。
三つ目は、駒を片づけた後、互いに「ありがとうございました」と言い合い礼をします。勝った方も負けた方も、一緒に対局できたことへの感謝の気持ちを込めます。
「礼儀作法も実力のうち」という言葉があるように、ゲームという枠を超え、相手を思いやる気持ちも、子どもたちに伝えていきたいと心掛けています。
お寺での生活を体験すると、いかに普段の生活が自由気ままに過ごしているかが分かります。私にとっても、よい修行になりました!
子ども語録
北海道の稚内にある主人の実家で、普段よりよく寝て、元気に外を跳び回る子どもたち。
カラオケで、長女のマイ(小学1年)はAKB48の「会いたかった」を熱唱。その後、家ではババが末っ子のシン(2つ)に向かって「会いたかった、会いたかった、会いたかった、シンちゃんに~」。
すかさずシンも「会いたかった、ババに~」。ババ、大感動。(プロ棋士)