〈奥山佳恵さんの子育て日記〉25・ダウン症の次男が10歳に! 振り返ってみると…

(2021年10月8日付 東京新聞朝刊)

10歳の誕生日。ろうそくのバクバク消しは、リクエストで2回もしました

私の足は筋力を得て、胸は鋼となって

 「あれから10年も、この先10年も」。渡辺美里さんの有名な歌の一節のように、わが家の大切な次男が先日、ついに生まれて10年の節目を迎えました! 振り返ってみると、この10年がたった10日ほどに感じます。一瞬の10年! あっという間でした。

 妊婦健診で母子ともに健康とゴーサインをもらえたからこその自宅出産、それゆえ誰も予想できなかった生まれてくる子の個性、遺伝子検査で21番目の染色体が3つある21トリソミー「ダウン症」という現実。

 初めは現実味がなさすぎて夢を見ているようでした。夢の中でフワフワしながらも、子育ては子育て。時がたつにつれ、次第に私の足も筋力を得てしっかと大地を踏み、驚きの衝撃が緩和してきた胸は鋼となって現実を受け止めていくことができました。

恐ろしいモンスターの正体は「不安」

 それまでまるで未知だった障がいのある子との暮らしでしたが、日々を重ねるうち、「なあんだ大したことがなかった!」と心から思えるように。「よく分からない」という不安が一番恐ろしいモンスターなのだと思い知りました。

 ならば、かつて私がそうだったように、ダウン症と関わったことがなく、「障がい」そのものへの抵抗感がある方に率直に「わが家の暮らし」を知ってもらおうと思いはや10年。私から生まれてきてくれたわが子を見てください。知ってください。見て、知って、関わってもらえたら分かります。モンスターなんかじゃなく、同じ人間だということ。カレーをこよなく愛し、家族が大好きで、毎日笑顔で幸せに生きていること。

 今お読みいただいているこの連載も、皆さまに次男の存在を知っていただく大切な機会のひとつです。

10年前には想像もできなかった未来

 10歳を迎えた次男にケーキを作り、ろうそくをともして家族で歌いました。大喜びの彼はろうそくを「ふぅー」と息を吹きかけるではなく、「バクバクバク」と、クチで謎の爆裂音を出しながら消しました。思いがけないオリジナルさに大爆笑。(インスタに動画をあげています!)

 ろうそくを消す次男に大笑いするなんて、10年前の私には想像もできなかった未来です。そう。未来は誰にも想像もできない。だから恐れる必要だってない。

 この先10年も、振り返れば同じように一瞬に感じるかもしれない。一瞬だからこそ大切に、一瞬でも多く大笑いして暮らしていきたいと思います! (女優・タレント)