〈中倉彰子さんの子育て日記〉32・成長のスキー旅

(2015年2月13日付 東京新聞朝刊)

オラフを作る!

 今年の冬は家族でスキーに初挑戦。2泊3日で、場所は長野市の飯綱高原スキー場。同市には毎月将棋の指導に赴いていて、一度はスキーをしてみたいと思っていました。

 子どもたちはそろって初心者。まずは3人分のセットを用意しなくては。スキー板と靴はレンタルね。ウエアは買った方がいいかな。買うなら来年も着られるように大きめにしないと。中に着る服、厚めの靴下や帽子は、保育所でも使える方が経済的ね。手袋やゴーグルはお友達に借りて等々、旅行に行く前に疲れてしまいそうです。

 たくさんの荷物を無理やりスーツケースに詰めて、いざ出発。バスの窓から見える雪景色に、目をキラキラさせる子どもたち。ほとんど雪を知らない東京の子には、まぶしく映るのでしょう。長男シン(4つ)は、アナ雪で好きになった雪だるま「オラフを作る!」と張り切っています。

 まずは最初が肝心と、長女マイ(9つ)と次女マキ(6つ)を現地でスキー教室に通わせました。シンは私とソリ滑り。姉たちは1時間半のレッスンで、結構様になっていてビックリです。

オレ、滑れるから 

 2日目には、シンも「滑りたい」と言いだしました。みっちり教室の先生に習い、リフトにも1回乗れて自信がついた様子。「オレ、もう滑れるから」。最近、自分のことを「シン」ではなく、「オレ」と言うようになったんです。男の子らしくなってうれしい半面、かわいらしさから卒業してしまうようで、複雑なママ心です(笑)。

 シンの言葉に押され、ママと2人、リフトで山の上へ。私は10数年ぶりで、シンは覚えたて。軽快に滑れるはずもなく、滑っては転び滑ってはまた転び。シンはうまく足を八の字にできず、どんどんスピードアップ。滑る時は楽しそうですが、転ぶと「ママがそこにいるからだよ!」ともどかしい思いを私にぶつけてきます。

 私も滑るのに必死です。2人で茂みへ入ってしまい、スキー板を外したり付けたり。その横をマイとマキが滑り抜けて行きます。「頑張ってね~」。ゆっくり八の字ではありますが、上達したわね。

 私の大変そうな様子を見て「大丈夫?」と、急に優しくなるシン。「大丈夫。頑張って2人で降りようね!」。汗だくになりながら下山して、シンとの絆は深くなったかな(笑)。久しぶりの家族旅行は、子どもたちの成長を感じる場になりました。(プロ棋士)