〈中倉彰子さんの子育て日記〉56・「桂馬」どこへ跳ねる?
「準備に取り掛からない」問題
わが家の3人の子どもたちは、それぞれ全く性格が違います。長女は、しっかりしていて勝ち気。末っ子の長男は、やんちゃで甘えん坊。真ん中に挟まれた次女のマキは、自由気まま、という感じでしょうか。
マキには、魔の2歳児期、「何でもヤダヤダ」で苦労させられましたが、小学3年生の現在は、「宿題と学校の準備に取り掛からない」問題で苦労しています(笑)。
金曜の夜、私が「早めに学校の宿題と準備を終わらせておこうね」と声を掛けると、「明日は休み。まだまだ時間はある!」。土曜、日曜と思いっ切り遊んで疲れ、夕方眠くなってそのまま朝までスヤスヤ。月曜の朝、半ベソをかきながら宿題と学校の準備をし、走って学校へ。こんな思いをしても、喉元過ぎればなんとやらで、すぐに忘れ、毎週こんな調子です。
私がしつこく言って、机の前に座らせる時もあります。やっと始めたかなと思うと、「鉛筆がとがってない」「消しゴムがない」などと言い出し、なかなか始めようとしません。
そんなマキですが、弟思いの優しい一面も。先日シンが「将棋道場」から帰って来ると、「シン、何回やってきたの?」「詰め将棋を解かないと、藤井聡太さんに勝てないよ!」と、ハッパを掛けます。将棋大会の翌日には、「頑張ったね」と、プラスチックの金メダルをシンに渡しました。入賞できなかったシンを励まそうとしたようです。
なりたいのは保育士さん
マキは、習い事も続かず、シンの将棋のように夢中になるものにも出合えていないので、何が向いているのかな、といつも考えるのですが、他人の世話を焼いたり、応援することが好きなのかもしれません。マキの今なりたい職業は「保育士さん」。小さい子のお世話が好きな、マキらしい答えです。
将棋の駒で言うと、「桂馬」みたい。ぴょんぴょんと跳ねて、相手から見ると、突拍子もないところから跳ねてくるイメージです。
将棋も駒の特性を存分に生かすことを考え、動かすことが大事。マキはマキらしく個性を生かしてあげられるようにしたいな。そう思いつつ、今週末は、どんな作戦で宿題と準備をやらせようかと、次の一手に考えを巡らせている私です。(プロ棋士)