プロのアナウンサーに教わろう!「伝わる話し方」 小中学校の授業にも
準備運動が大切 体も顔もよくほぐしておこう
「一番大切なのは、どういう音を使えば言葉が届くのかなということ。まねしてやってみてください」。昨年12月、横浜市立上郷(かみごう)小学校の六年生たちを前に、アナウンサーの常世(とこよ)晶子さんと茂木(もぎ)亜希子さんがこう呼びかけた。
まずは準備運動。「体が固まっていると声が出ませんよ」。手足をブラブラさせたり、体全体を上下に大きく伸び縮みさせたりして軽くジャンプも。次は顔。「あー」「いー」と順に言いながら、大げさなくらい顔の筋肉を動かす。顔がほぐれると表情が生き生きして口も動かしやすくなる。
大人は子どもたちに「大きな声で」と言いがち。ただ「喉が開いていない状態で大声を出すとガラガラ声になり、喉を痛めることにもなります」と常世さん。腹式呼吸も重要だ。
「温かいお風呂でリラックス」をイメージして
遠くまで届く「のびのび声」をイメージしてもらうため、例えたのは「温かいお風呂に入ってリラックスしながら響かせる声」だ。その上で、五十音の発声練習では、一つ一つを頭からしっかり発音し、「声を遠くに飛ばすイメージで」と伝えた。
「声」の準備が整ったら、いよいよ「言葉」の伝え方だ。「リースに ローソク クリスマス」-。短い文だが、ろうそくの光が揺れる暖かな部屋で、プレゼントを楽しみに待つ気持ちを想像しながら読む。茂木さんは児童らに「ただ文字を読むのではなく想像できる人が、一番上手に伝えられるよ」と語りかけた。
否定的な反応はNG 伝えるのって楽しいんだ
強調したい言葉がある場合、その前に少し間を空けて、その言葉を「ゆっくり、大きく、高い声で」がポイントだ。また発表や文章読みを上達させるには、句読点にかかわらず、意味をとらえて区切る▽不必要に語尾を伸ばさない▽周りの人に聞いてもらってクセなどを指摘してもらう-などを意識すると良いという。
授業後、「自分で文章の意味や、どこを強調したいかを考えて間を取ると良いことが分かった」と下斗米(しもとまい)耕陽さん。加藤愛捺(あいな)さんは「気持ちを込めて、トーンを変えて読むだけで、伝わり方ががらっと変わることが分かった」と話した。
常世さんは「『声が聞こえない』『よく分からない』などと否定的なことを言われたために、積極的に伝えられなくなる子どももいる。まずは声を出して伝えることを楽しいと感じられればOK。子どもとかかわる大人も一緒に練習しながら声掛けしてあげて」とアドバイスする。
アナウンサーやナレーター 全国で100人が活動
常世さんと茂木さんが共同代表を務める「こどもアナウンス発声協会」は2017年5月に設立。「子どもたちに正しい発声や伝わる話し方を知ってほしい」と、アナウンサーやナレーターら約100人が全国で活動している。昨年11月には「こどもアナウンスブック」(子どもの未来社)も出版した。