「中学校で全員給食導入を」の声、取り入れられず 町田市教委が母親らの請願を不採択
松村裕子 (2019年6月4日付 東京新聞朝刊)
東京都町田市教育委員会は3日、市立中学校に全員給食の導入を求めた母親らの請願を不採択にした。現在は弁当持参と外注ランチボックスの選択方式で、母親らは「ランチボックスは利用しにくい」などと訴えていた。利用率は1割と低く、市側は運用改善の必要性は認め、年度内に全19校で各5日間、無料で試食してもらって定着を目指す。
業者製造のランチボックス「冷たい」など不評
ランチボックスは市の栄養士が献立を考え、2業者が製造して各校に届ける。1食650円で、うち生徒側の負担は材料費の310円だが、汁物がなく、食中毒を防ぐために冷却することから「冷たい」との声もある。請願した市内の保育士渋谷由美さん(41)は「弁当を作れない家庭が利用する印象もある。食物アレルギーにも対応できない」と訴える。
同じように考える市民は多く、渋谷さんらは昨年、2万3000人分の署名を集め、市議会に全員給食の実施を求める請願を提出。不採択になったため、市教委にも同様の請願をした。市教委でも不採択になったことに、渋谷さんは「残念です。次の方策を考えたい」と話した。
市は調理場の設置に難色「100億円かかる」
市立小学校では、学校ごとに調理場を設けて給食を実施しているが、市側は各校に調理場をつくると100億円かかるなどとして、中学では現行方式を続ける方針。ただ、3月の市議会で、1週間の全員給食を試行するなど運用改善を求める請願が採択されたため、市は6月補正予算案に試食経費7700万円を計上した。担当者は「少数派になりたくないのもランチボックスを避ける一因とみられるので、みんなで食べてみてほしい。おいしくないイメージも払拭(ふっしょく)したい」と話す。多摩地域では他に5市が同様の選択方式を取っている。