川崎市の教員試験応募者が激減 本年度 前年度比262減って1257人 近年で過去最少

大平樹 (2019年6月16日付 東京新聞朝刊)
 川崎市教育委員会は、市立学校の本年度の教員採用試験の応募者が、前年度比262人減の1257人だったと明らかにした。倍率は4.1倍。人数・倍率とも近年で過去最少となった。教員志望者は全国的に減っているといい、市教委の担当者は「インターネットでの広報活動を強化するなど、改善を図る」と話した。11日の市教委定例会で報告した。 

1年間で2割減 異例の事態

 市教委によると、応募者は過去10年間、1500~2000人程度で推移し、1年間で2割近く減ったのは異例の事態だ。市教委は市立の小中学校と高校、特別支援学校で、前年度より2人少ない308人程度を募集。応募者数は小学校が605人で3.4倍(前年度3.8倍)、中学校と工業を除く高校の合計が472人で5.6倍(同8.5倍)だった。

 倍率が最も高かったのは、中学・高校の数学で12.4倍。最低は、5~10人の募集に対して4人しか応募がなかった高校(工業)で、倍率は1倍を下回った。倍率にかかわらず、応募者には全員試験を受けてもらい、不足が見込まれる教員については、各校内で配置をやりくりするなどして対応する。

市立小中学校で5月時点で8人不足

 市内の教員不足はここ数年で顕在化しており、市立小中学校では今年5月1日時点で計8人足りなかった。育児休暇や病気などでの欠員を臨時採用で埋めきれず、教務主任や担任を持っていない教員を充てているという。

 市教委は大学や教員志望者が通う専門学校で説明会を開くなどして応募を呼び掛けてきた。担当者は「教員の資格を取れる学部の学生でも、一般企業への就職を志望する人が増えている」と話す。人材不足の企業が採用活動を強化していることに加えて、学校現場の長時間勤務が広く知られるようになったことが一因とみられる。採用試験の応募者は本年度、県教委や横浜、相模原の両市教委、都教委でも軒並み減少したといい、教員確保は厳しい状況が続きそうだ。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2019年6月16日