【動画あり】台所から自由研究のススメ・2 亀裂から生チョコの「マグマ」が隆起した! 2000年の有珠山噴火ほうふつ
永井理、動画・三輪喜人 (2019年8月12日付 東京新聞朝刊)
2回目もココアの火山をつくろう。でも、今回の主役は生チョコレートのマグマ。地下のマグマが上昇すると火山に何が起こるかを考える、甘くて深い実験だ。
粘り気をうまく出せるかがポイント
火山が生んだ最も美しい風景のひとつ北海道の洞爺湖(とうやこ)。そのほとりで活動するのが有珠山(うすざん)だ。有珠山は、ラクダのこぶのような出っ張りがいくつも連なった形だが、これは地下からマグマが上昇してきてできた膨らみだ。
最近では2000年にマグマが上昇。山の北西部に亀裂が走り、マグマの熱でマグマ水蒸気爆発などの噴火が始まった。最終的に約80メートル隆起して道路や建物が壊れた。
今回は、マグマによる隆起や亀裂を再現してみる。再び秋田大の林信太郎教授に指導してもらった。マグマの役割をするのが生チョコ。有珠山のマグマは粘り気が強いため、流れ出たりせず地下にたまってドーム状に盛り上がる。うまく粘り気を出せるかどうかが実験を左右する。
山頂ではなく山腹に「マグマガナッシュ」
真ん中からチョコを注入したのに、山頂ではなく山腹が隆起した。なぜか?
理由を調べるためココア火山を冷蔵庫で冷やそう。取り出してココアを取り除くと、おいしそうなガナッシュチョコが現れた。これが隆起の原因になったマグマの塊だ。よく見ると少し先が曲がっている。「山頂は土が厚くて重いので、横に曲がって山腹に向かうのです」と林さん。
1980年に米セントヘレンズ山で起きた大規模な斜面の崩壊は、山腹に割り込んできたマグマが原因という。
実際の火山では内部のマグマは見えないがココア火山なら簡単。もっとガナッシュを食べたくなったら、もう一度実験しよう。マグマの粘り気や山の形を変えても面白い。
◇用意するもの
・ココア 60~80グラム
・チョコレート 10~20グラム
・生クリーム 10~20グラム
・硬めの板(20センチ四方)
・三脚(ペットボトルでも代用可)
・茶こし・注射器のシリンダー
・きり(穴あけ用)
・ココア 60~80グラム
・チョコレート 10~20グラム
・生クリーム 10~20グラム
・硬めの板(20センチ四方)
・三脚(ペットボトルでも代用可)
・茶こし・注射器のシリンダー
・きり(穴あけ用)
実験の方法
- 火山をつくろう。直径約5ミリの穴を開けたアクリル板を三脚に載せ、ココアを茶こしでふるって山にする。最初は穴を下から指で押さえてココアが漏れないようにする。
- 次にマグマ。チョコと生クリームを40度で湯せんして1対1を目安に混ぜ、生チョコを作る。カカオ分が多い方がよい。ケーキ用のクーベルチュールチョコがお薦めという。理由は「後で食べるときおいしいから」。マヨネーズぐらいの粘り気を目指す。
- いよいよ実験だ。注射器で生チョコを板の穴から注入する。斜面にひびが入り、表面が少しずつ盛り上がる。「噴火前に亀裂ができる様子を観察してほしい」と林さん。隆起するに従って亀裂が大きく広がった。