え!?「学校の固定電話を使ったら10円払え」 沼津市の市立中に独特な慣例があった

高橋貴仁 (2020年2月4日付 東京新聞朝刊)
 静岡県沼津市の全市立中学校(18校)では、生徒が忘れ物などで校内の固定電話を使用した際、10円を支払わなければならない。県内の主要市に情報公開や取材をした結果、沼津市教委は慣例で全市的に電話代を徴収していた。市立中は一般に生徒の携帯電話の持ち込みを禁じ、校内の電話代は税金で賄われている。

沼津市の今沢中「生活のきまり」にあった電話代の決まり

沼津市教委「誰がいつ決めたルールか分からない」

 沼津市教委学校教育課の担当者は「業務以外の私的な電話を使った場合に限り払ってもらう」と説明する。私的な電話とは、家族に迎えを依頼したり、忘れ物を持ってきてほしいと頼んだりするケース。条例や校則などに明文化されていない学校が大半で、「いつごろからあり、誰が決めたルールなのかも分からない」という。

 市教委は「ルールは教諭にも適用される」と強調する。私的な電話か否か、生徒は教諭の判断を仰ぐ必要があるが、教諭の場合は許可を取る人も、私的かどうか判断する人も、いない。市教委の担当者は「他の教諭の目があるので、私的な電話はできない」と話す。

 生徒と教諭の不公平感は認めており、担当者は「ルールの均一化や、今後、電話代を取る取らないも含めて検討したい」とする。

徴収した合計額は年1万1580円 市の一般会計に

 市内の全18校で徴収した電話代は毎年度、市の一般会計に繰り入れられ、2018年度は計1万1580円だった。

 本紙は沼津市、静岡市、浜松市の全中学校の校則や決まりを情報公開請求した。沼津市の今沢中は「生活のきまり」で「電話代10円を支払う」と明記。静岡市の由比中は「中学校の生活について」と題する文書に「家庭への連絡は学校の電話(固定電話への通話10円、携帯電話への通話20円)を利用する」と定めていた。

 各市教委への取材で、沼津市内は全市的に徴収していたことが分かった。静岡市教委は由比中の例を「初めて聞いた」としており、由比中の柴田貴雄校長は「見直しが必要かもしれない」と話した。浜松市に、電話を使用した際にお金を払う決まりはなかった。