神社境内で子ども受け入れ 新型コロナの休校対応で群馬・藤岡市の有志 絵本300冊、大人2人が常駐

石井宏昌 (2020年3月5日付 東京新聞朝刊)
 新型コロナウイルスの感染拡大防止で学校の臨時休校が続く中、群馬県藤岡市の市民グループの有志が、子どもたちの「居場所」として市内の神社境内の建物を借りて無料で受け入れ、保護者を支援する活動を始めた。主催する藤岡市藤岡の関口麻穂さん(44)は「突然の休校で困っている保護者の力になれれば。みんなの力で乗り越えたい」と協力者を募っている。 

4日はあいにくの雨。屋内でゲームなどで遊ぶ子どもたち=藤岡市で

図書館も休館…居場所がない

 関口さんは小学1年と保育園年中の子を持つ母親。ヨガインストラクターとして藤岡市内で教室を開く傍ら、健康と生活の質を考えるグループ「藤岡QOLネットワーク」のメンバーとして活動する。

 同市が2~15日に一斉休校し、図書館や市民体育館など子どもたちの居場所になりそうな公共施設も休館することを受け、グループ有志や友人と相談して企画。市内の諏訪神社の協力を得て、神社の建物や境内を利用して3日に開設し、13日まで受け入れる。

 天気が良ければ屋外中心に、雨天などは屋内で活動し、日本語や英語の絵本300冊以上も用意した。現在関口さんら10人ほどが活動に参加し、大人2人以上が常駐してサポートする。

SNSで告知 体調管理に注意

 手指消毒のほか、預かる際に子どもたちを検温し、発熱していないことを確認。保護者に子どもの健康について問診票に記入してもらうなど体調管理に注意する。

 会員制交流サイト(SNS)などで告知し、4日は午前中に小学校低学年の児童5人ほどが保護者と一緒に訪れた。

 関口さんの「ママ友」で、市内の女性(42)は小学1年の長男と次男(1つ)と一緒に来た。長女(3つ)は保育園に通う。女性は「仕事は育休中で休校期間も自宅待機できるが、子どもの世話と家事で大変」と語る。

「ワンオペ育児」の手助けにも

 小学1年と保育園年少の2児の母親(38)は勤め先の会社と相談し、休校中は在宅勤務に切り替えた。だが「子どもが気になり、なかなか集中できなくて…。半日だけでも預かってもらえると助かる」と感謝する。

 関口さんは「1人で家事や育児に追われる『ワンオペ育児』の手助けや息抜きにもなれば」と話す。休校の延長など状況の推移によって開設期間など対応を検討する予定で、活動の協力者も募っている。

 開設は原則、平日午前8時半~午後3時。関口さんらは寄付を呼び掛けている。利用には、事前の問い合わせが望ましいという。問い合わせは関口さん=電話090(8335)1245=へ。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2020年3月5日