奨学金、コロナで収入減の世帯も対象に 4月スタートの支援制度 注意したいポイントは?

(2020年6月11日付 東京新聞朝刊)
 学生の多くが利用する奨学金で、4月から低所得世帯の学生を対象に国の新しい支援制度が始まった。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で収入減となった世帯の学生も対象に加わっているなどしているが、こうした変更が、休校措置で情報から遠ざかっていた高校3年生や学生らに十分周知されていない可能性もある。奨学金アドバイザーの久米忠史さん(52)に注意したいポイントを聞いた。

「下宿生に手厚く、地方の学生に進路選択の幅」

 4月からの国の「高等教育の修学支援新制度」は、国などによる入学金や授業料の減免と、日本学生支援機構による返済不要の給付型奨学金がある。減免額は入学金は年間最大約28万円、授業料は同約70万円。これとは別に、機構が同約91万円の給付型奨学金を支給する。

 新制度の対象は、両親らの収入が住民税非課税世帯の水準にある学生。本来は前年所得などを基準に判定されるが、新型コロナの影響で、収入が同水準まで急減したと見込まれる世帯の学生にも拡充した。

 久米さんは「自宅外の学生への支給額が多く、より手厚い支援となっているので、特に都会で学びたいという意欲のある地方の学生にとっては進路選択の幅が広がる」と指摘する。

振り込み、減免は入学後 数十万円を事前準備

 ただ、新入生の場合、新制度を活用できても、多くの奨学金と同様、初回振り込みは入学後。入学金や前期授業料の納付期限は、合格発表後2週間以内の大学が多い。授業料の減免も手続きは入学後。入学前に奨学金以外の方法で数十万円の準備が必要なのは、これまでと変わらない。

 久米さんは「低所得家庭での準備は容易ではない。個々の事情に応じて、受け入れ側の大学が柔軟に対応すべきだ」と話す。

高3時の「予約」申し込み、募集前倒しに注意

 多くの学生が利用する日本学生支援機構の奨学金は、高校3年時に申し込む「予約採用」と、入学後の「在学採用」がある。予約採用で申し込む生徒が多く、申請などの手続きは学校を通じて行う。

 高校ごとに締め切り日が異なるが、昨年度から機構側の募集期間が前倒しになったので要注意。18年度まで貸与型の予約採用は多くの高校で5~6月ごろと10~11月ごろの2回あった。だが、新制度が始まったことなどに伴う変更で、昨年度は8月上旬までとなり、本年度は6月末までと早まっている。

コロナ禍で雇用不安「就職希望の学生も予約を」

 コロナの影響でやむを得ない人に限り、7月末まで予備の募集期間が設けられたが、久米さんは「『上の子の時は秋の募集もあったからまだ大丈夫』などと勘違いする保護者がいるかも」と注意を促す。

 また、久米さんは「今は就職希望の生徒も予約採用の申し込みを」と勧める。2008年の「リーマン・ショック」で就職環境が悪化した時、就職できず、あわてて進学準備が必要になった生徒が少なくなかったという。「就職が決まれば、奨学金は辞退すればいい。念のため手続きしておくと安心できる」

奨学金

 公的な奨学金と民間の奨学金があり、それぞれ主に、卒業後に返還が必要な貸与型(有利子または無利子)、返還不要な給付型がある。公的奨学金の代表が日本学生支援機構の奨学金で、奨学生の大半が利用している。 

進学後に払えなくなったら…まずは大学に相談を

 大学などに進学後、新型コロナウイルスの影響でアルバイトができないなど経済的に困窮した学生らは、国から10万~20万円の現金給付を受けられる可能性がある。

 また、大学に独自の支援策がある場合も。日本学生支援機構にも国の新制度とは別に家計急変で緊急に奨学金が必要となった学生が申し込める制度があるので、まずは大学に相談する。

 既に大学などを卒業し、支援機構の貸与型奨学金を返済中の人が延滞すると、利息が上乗せされた延滞金が科されるので注意が必要だ。返済に行き詰まった場合、返済期間を延ばす代わりに月の返済額を減らしたり、返済を先送りしたりする方法がある。早めに検討したい。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2020年6月11日