さいたま市立校、48人が感染予防を理由に1日も登校せず 学校再開後の26日間 「出席停止」で欠席扱いにはならず
主な理由「感染させる」「感染する」
さいたま市教委の健康教育課によると、感染予防を目的に保護者などの希望で登校しない場合は、インフルエンザなど他の感染症の場合と同じ「出席停止」となり、欠席扱いにならない。調査は学校再開後、通常授業が始まった6月15日~7月20日の土日を除く26日間を対象にした。全児童・生徒数は約10万人。
その結果、5日ごとの累積日数で最も多かったのは1~5日間登校しなかった子どもで計277人だが、26日間すべて休んだ子どもも小学校34、中学校12、特別支援1、高校1の計48人いた。期間中の延べ出席停止人数は3500人に上った。
登校しない主な理由は、「同居家族にかぜのような症状があり、自分が他者に感染させる心配から登校を控えた」というケースと、「登校すると感染する恐れがある」として休んだケースがあるという。
市教委「今は保護者の考えを尊重」
休んだ子どもたちへの対応は各校で異なり、担任が毎日家庭訪問する学校や、スクールソーシャルワーカーが月1回保護者と面談する学校も。学習の遅れは、子どもが登校できた時に放課後に個別指導したり、さいたま市教委作成のウェブ上の学習コンテンツの活用を指導したりしているという。
健康教育課の担当者は「今は保護者の考えや思いを尊重している。今後はいかに心の不安を取り除くか、学習保障や心のケアをしっかり行いたい」と話している。
4日、取材に応じた細田真由美教育長は、全期間出席停止が48人いることに「決して少なくない。コロナが家庭にも大きな影響を与えていると実感する。学びを止めないよう、できることはすべてやらなければと新たに思った。(登校しないことが)不利益にならないよう指示している」と述べた。
「親とは別に、子どもの話も聞いてほしい」 国立成育医療研究センター・田中恭子こころの診療部長の話
このような状態の子どもの把握は大切で、貴重な調査だ。結果を見て心配するのは、もともと発達障害や適応障害など、社会へ適応する上での脆弱(ぜいじゃく)さを持つ子どもたちが、コロナでさらに追い込まれているのではないかということだ。
だれもコロナには感染したくないし、怖いと思うのは当たり前の反応だが、脆弱性があると正しく怖がることができず、誤解に基づいて怖さを増幅させることがある。子ども自身の問題の場合もあれば、保護者からコロナそのものや経済的困難などの不安をぶつけられ、登校しづらい心理になる場合も考えられる。
学校は、登校しないのは家庭の選択だと簡単に片付けず、家庭が孤立しないよう積極的に連絡を取ってほしい。担任教諭らが、できれば親とは別に子どもから話を聞き、どんな恐怖、困難があるのかよく観察してほしい。その上で福祉や医療などにつなぐ対応も必要だ。