埼玉唯一の小中学校オンライン授業 久喜市の取り組み 子どもに好評、課題は通信端末の確保

(2020年4月23日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる
 新型コロナウイルスの感染拡大で県内の小中学校が臨時休校となる中、在宅のまま受けられる双方向のオンライン授業の取り組みが、埼玉県久喜市内の小中学校で広がっている。県などのまとめでは、県内の公立小中学校で実施しているのは久喜市だけ。学習面だけでなく、コミュニケーションを支える効果も期待できそうだ。
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オンライン授業で子どもたちに話し掛ける島田教諭(左)=久喜市立栢間小学校で

新小1がクラスメートに得意なことを発表

 久喜市立栢間(かやま)小学校の図工室で17日午後、1年生担任の島田成実教諭(29)が、パソコンの画面に映る児童に向かって「はじめに出欠を取ります」と言って1人1人の名前を読み上げると、「はーい」と元気な声が返ってきた。

 9日の入学式以来、8日ぶりの顔合わせ。クラスの全9人のうち、8人が自宅でスマートフォンやタブレット端末などを利用して参加した。児童は自分の得意なことをそれぞれ発表。他のクラスメートは、新しい友達に興味津々だった。オンライン授業を終えた島田教諭は「子どもたちの顔を見ながら会話ができ、安心した。1年生同士の人間関係が少しは築けたのでは」と振り返った。

元SEの事務主事が準備 保護者にも好評

 栢間小は3月に始まった臨時休校の段階から、事務主事で元システムエンジニアの安部友輔さん(31)を中心にオンライン授業の可能性を探ってきた。新年度再び休校が決まったため導入を決め、4月10日から1日1学年ずつ、インターネット会議アプリ「Zoom」を使用し30分の授業を試験的にやってきた。

 授業後のアンケートに子どもたちは「友達の顔が見られてうれしい」、保護者も「この状況下で大変有意義な授業」と回答し、おおむね好評だ。20日から1日2学年に増やし、5月の大型連休前までに1学年につき3こまほど実施する。

録画と校内PC室利用で全員参加できる

 オンライン授業で課題となるのは各家庭の接続環境。保護者のスマホを利用する場合、保護者が付き添わなければならなかったり、子どもの預け先にネット接続の環境が無く参加が難しかったりする。栢間小は録画を残したり、校内のコンピューター室を利用できるようにしたりして全員が参加できる環境を用意した。

 富山司校長(55)は「保護者の理解があって実現できた。通常の授業よりやりとりに時間がかかるなど課題はあるが、児童も互いの顔が見えて刺激になる。オンライン授業後の家庭学習も前向きになるのでは」と期待する。

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オンライン授業に参加する子どもたちが映るパソコン画面

モバイルルーター、すでにモノがない

 栢間小は全校児童92人と比較的小規模だが、市内全体となると、小中学生は約1万1000人いる。手引や質問集を作るなどオンライン授業の導入を後押ししてきた久喜市教育委員会も、オンライン授業を受けられる環境がない家庭が相当数にのぼるとみている。

 市教委は端末の無料貸し出しやモバイルルーターのレンタルを複数の企業に打診しているが、既にモノ自体がない状況。ある企業からは「早くても6月以降になる」と説明を受けたという。予算をどう確保するかにも担当者は頭を悩ませる。それでも「休みがさらに長期化するかもしれない中で、子どもたちの学びの保障が求められる。できるさまざまな手段を探りたい」と話している。

 

 

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