コロナ休校、世界各国のオンライン授業の現状は? 英国で「YouTube体育」が人気 課題はデジタル格差
米国で本紙記者が実感「低学年は親がつきっきりの必要」
「この問題が分からないんですが」「じゃあ、先生がやってみせるよ」。米東部メリーランド州モンゴメリー郡。東京新聞アメリカ総局の記者の高校1年の長女(16)は、自宅でオンライン授業を受けている。中学1年の長男(13)も同様に学習中だ。
約15万人の児童生徒がいるモンゴメリー郡は4月から、ビデオ会議システム・Zoomを使った授業を開始。郡はパソコンなどを持っていない子には貸与し、通信用モバイルWi-Fiも配布した。
授業の画面に映っている生徒は数人だけ。生徒も教師も映るかどうかは自分で決める。自宅の様子などのプライバシーへの配慮だという。ログインがうまくできない生徒がいたり、家庭内の幼い子どもの声が響いたりして、授業が進まないこともある。
1回の授業時間は通常より大幅に短く、コマ数も少ない。事前にメールで出された宿題で分からない点を質問する補完的なものにとどまる。長女は「先生が慣れてくれば、通常の授業と同じように進められると思う」と期待するが、低学年だと親がつきっきりになる必要があると感じた。
PCない家庭も フランスで「5~8%がついて行けない」
多くの国が試行錯誤でオンライン授業を進める中、経済的にネット環境を持てない家庭は多い。米ニューヨーク市では、110万人超いる児童生徒のうち、1割が定住先のないホームレスとされる。市は無償貸与用にiPad(アイパッド)30万台を用意。米国学校管理者協会のドメネク事務局長は「現実は全米1万3000を超える学区の大部分で、オンライン授業を行う能力がない」と指摘し、「デジタル格差」を懸念する。
フランスでも、パソコンのない家庭の学習の遅れが課題だ。ブランケール仏教育相は休校措置開始から約2週間後の3月末、「児童生徒の5~8%がすでについて行けなくなっている」との見方を示した。ヨルダンでは、約200万人のパレスチナ難民の家庭の多くが、オンライン授業を利用できていない。
休校で学校給食が中止となり、子どもの栄養面も心配される。ロシアは家庭の食費軽減のため、一部自治体で食料の現物支給を開始。しかし、第二の都市サンクトペテルブルクと北部の貧しいカレリア共和国では、支給される1日あたりの食料内容に約3倍の差がある。地域格差も浮き彫りになっている。
英国の著名トレーナーが「ジョーと体育」640万回再生
学校閉鎖が1カ月になる英国では、家から出られない子どもたちを元気にしようと、著名トレーナーのジョー・ウィックスさんがYouTubeで体育の授業を始めた。
「ジョーと体育」と題し、室内でさまざまな動きを披露。それを子どもたちがまねして運動する。初回の再生回数は640万回超を記録。日課にしている英南部サウサンプトンの小学生アニー・ロバートソンちゃん(7つ)は「学校の体育の授業よりきついけど、おもしろい」と笑顔だ。
韓国の高校 日本語教師が「出席率100%」にやりがい
9日から全国の小中高校で段階的にオンライン授業が始まった韓国。ソウル近郊の高校で日本語を教える40代の女性教師は、担当クラスの出席率が100%だったといい「授業が必要とされているのがわかった」と使命感を新たにした。
退勤後に家で授業動画の撮影や編集に追われるなど負担もあるが、やりがいは大きいという。「直接の授業には及ばないが、若い生徒はデジタルに慣れていて熱心に学んでいる。徐々に適応してくれれば」と願う。
なるほど!
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ネット環境今は当たり前自分はスマホしか持てない。フランスアメリカ等もそんな家庭が在るんだな