休校あと1カ月…家庭学習どうする? プロのおすすめは「教科書を読む」 親は”やる気を奪う声掛け”に注意

子育て世代がつながる

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、首都圏ではほとんどの学校で休校が少なくとも1カ月ほど延長されることとなりました。3月初めから学校で授業が受けられない状況が続く中、子どもたちの学習面への不安が募っています。まずは4月からゴールデンウィークまでの1カ月、家庭でできることは。東京・杉並でその子に応じた学習をサポートする塾を運営する柳原浩紀さん(43)に、アドバイスをもらいました。
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柳原浩紀さん

オンライン教材のはずが…YouTubeを見るだけに?

―休校になり、学校からはプリント課題などが出ましたが、授業はストップしたままです。

 これだけ休校が長引くと、子どもたちも保護者の皆さんも不安が高まりますよね。感染症対策のための休校ですが、「教育」という短期的には見えないコストにならいくらでもツケを転嫁していい、ということではありません。

―一部の自治体では、オンライン授業などが試行されていますが、何もできていない自治体もあります。一方で、民間の教育関係の会社などが提供するオンライン教材の案内などを多数目にするようになり、親としては焦ってしまいます。

 学習習慣を保つため、ということでオンライン指導が流行ではあるのですが、環境整備などにコストがかかる割には費用対効果が薄い、と思います。オンライン教材は自分から学ぼうとする意欲がある子ども向けで、そこに至っていない状態で無理に導入すると、パソコンを使うため、ネットサーフィンやYouTubeに時間が消えてしまう…ということも起こり得ます。かといって、親がずっと監視するのは親子関係を悪化させますし。今回のような緊急事態に学習習慣を崩さないためにはぜひ「教科書を読む」ことをオススメしたいです。

緊急事態でも学習習慣 おすすめは「教科書を読む」

―教科書、ですか。

 小中高校いずれにも当てはまりますが、基本的に学校では国語を除いて、あまり「教科書を読む」ということがありません。授業は「講義→問題集・ドリルを解かせる」という形式が多いため、教科書は一応持ってくるもの、という感じになってしまい、有効に使われているとは言えません。ただ、教科書はどの教科であれ、網羅すれば必要な学習内容がしっかり身につくよう練られています。市販の参考書のようにボリュームが多すぎるということもないので、「一冊まずは仕上げる!」というときに挫折しにくいです。

 私が塾で多くの子どもたちを教えていて感じるのは、「教科書レベルのことは全部理解している!」という児童、生徒はほとんどいません。特に中高生で教科書が隅々まで網羅できていれば、それだけでおそらく学校でトップクラスの成績になると思います。それだけ、「教科書レベル」をマスターするのはとても難しいことなんですよ。

「拘束時間」と「進度」をケア まずは1日2~3時間

―手っ取り早く手に取れる教科書をしっかり読む、意外と思いつきませんでした。注意すべきポイントはありますか。

 教科書には基本的に「解答・解説」が付いていませんので、子どもたちが自力で演習問題などを解いても、分からない部分が残ってしまいます。書店やアマゾンでも買える解答付き「教科書」市販本も中にはありますし、それがない科目なら教科書内の解答・解説付きの例題だけを繰り返し取り組むだけでも十分に力が付きます。ただ、中学と高校の英語だけは、現在の教科書は文法の解説がとても少ないため、文法を学べる参考書を使うほうが良いと思います。

―教科書なら追加のお金をかけなくても学ぶことができますね。ただ、親の言うことをなかなか聞きたがらない小学校高学年から中学生の子に「教科書読んでみたら?」と親から言ってもなかなかうまくいかない気もしてしまって…。

 「教科書学習」の際、気を付けるべきなのは「拘束時間」と「進度」です。拘束時間は、たとえば、「学校の授業は朝8時半から午後3時までなんだから、その時間ずっと教科書を読みなさい!」と言ってしまうと、おそらく途中からは読まずに適当に時間をやり過ごしてしまうでしょう。いつも学校で受けている講義形式の授業に比べ、教科書を読む、というのは能動的に頭を使うので、とても疲れるのです。まずは1日2~3時間でも十分。それ以上はやらせないようにすることで、逆に必ず取り組む時間を確保する、ということが大切です。

親は必ず約束を守る!「もうちょっとやろう」はNG

 そして、「終わったら自由時間だよ」と約束したら、必ずそれは守ることです。親が約束を守れば、子どもたちも約束を守ろうという姿勢になりますが、欲を出して「今日はもうちょっとやったら?」などと勝手に延長しようとしたりすると、子どもは自己防衛のために、本来の勉強時間の中でサボるようになってしまうのです。

―なるほど。約束を親子で決めて、それは必ず守ること、ですね。進度についてはどういうことですか。

 「ここまで」という目標を決めなくても良いので、代わりにどの科目がどれだけ進んだかを毎日記録しましょう。この記録を見て、子どもたちが「今日はもうちょっと進もう」と思えるようになると、習慣づけがうまくいきます。この記録も、保護者が一緒に見るのはいいのですが、「明日はこれくらい進めなさい」とか「今日もっとできたんじゃない」などと口出しすると台無しになります。自分の勉強の記録を見て、自信を付けたり、目標を立てたりできるようになるための記録ですから、親は決して口出ししないことが大切です。そういう力を付ける良い機会になるととらえてはいかがでしょうか。 

この機会に「一斉に板書を写す授業」を見直しては?

―休校中、週に1回学年を分散して登校日を設ける計画の自治体もあります。この機会はどう生かせばいいのでしょうか。

 まず教科書を中心に勉強を進めていくためにも、感染拡大の防止には十分注意を払った上で、各家庭になるべく早く教科書を配布し、子どもたちの学習が滞らないような施策を教育委員会や学校にはお願いしたいです。

 臨時登校でいつもと同じような講義を行うのは時間的に不可能です。各自が教科書を使って勉強を進めてきて分からないところなどの質問を受け付けますよ、という「反転授業形式」でやるのが現実的で効率的な教育だと思います。ただ、学校の先生たちは「講義することこそ授業」と考えている方が多いので、保護者の方々から「この時期はリクエスト形式でやってほしい」と求めていってもいいと思いますよ。一斉に板書を写す授業のあり方がこのままでいいのか、この機会に議論することも必要かもしれません。

柳原浩紀(やなぎはら・ひろき)

 プロの家庭教師として子どもと接する中で、「一人一人の力を伸ばすには、自学自習スタイルの洗練こそが最善の方法」と確信し、一人一人にカリキュラムを組んで自学自習する「反転授業形式」の「嚮心(きょうしん)塾」を2005年に東京・西荻窪に開く。勉強の内容だけでなく、子どもたち自身がその方法論をも考える力を鍛えることを目指して指導する。東京大法学部卒。

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コメント

  • 匿名 より:

    新しい教科書をもらったら、子供に話してみようと思います。

  • 匿名 より:

    新学年の教科書もプリントも配られていません。
    発達に特性があり、繰り返しや分かったことを復讐するなどには非常に苦手があります。
    前年の教科書を読むこともイヤ(分かっていることの繰り返し)で、民間のタブレット学習などで今年度の予習をすると、授業が嫌になるのではと色々悩みます。

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