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〈ペアレント・トレーニング〉7・何度もガミガミ言うのはイヤ→「予告」や「選択肢」をうまく使おう!

(2019年4月5日付 東京新聞朝刊)

笑顔が増える ペアレント・トレーニング

 「ペアレント・トレーニング」の第7回は、前回に続き、子どもの協力を増やすための「効果的な指示の出し方」を学びます。前回は「穏やかに、子どもに近づいて、静かな声で」声をかける練習をしました。ただ、「それだけじゃ、やっぱり動いてくれない」というお子さんも少なくないでしょう。この記事を書いている記者もそうでした。小学5年生(当時は4年生)の姉に対しては効果がありましたが、小学3年生の息子には通じず、結局最後は「宿題しなさーい!!」とガミガミ言う羽目に…。今回は小児科医の長瀬美香さんに、子どもが動きやすくなる4つの声かけのコツを聞きました。(過去の記事一覧はこちら

悩み「宿題をしない小3息子にガミガミ言いたくないです」

 小学3年生の息子は「宿題してね」と声をかけるだけでは始めてくれません。でも、ガミガミ言ってお互いに嫌な気分になるのは避けたいです。

解決のヒント「予告や選択肢を使ってみましょう」

<小児科医・長瀬美香さんから>

 穏やかに声をかけるだけでは、子どもが行動に移せない時もありますね。ただ、せっかく穏やかに声をかけたのですから、そこで悪い雰囲気にしてしまうのはもったいないです。ちょっとした工夫で子どもは動きやすくなりますよ。

 前回は、子どもに指示を出すときに大事な「CCQ」、つまり「親自身が穏やかに、子どもに近づいて、静かな声で」指示を出す練習をしました。CCQは、Calm(カーム/穏やかに)、Close(クロース/近くで)、Quiet(クワイエット/静かに)の頭文字です。今回は、より具体的な声かけのこつを4つ紹介します。

予告する

 急に「○○しなさい」と言われても、子どもはすぐには気持ちが切り替わらないこともあります。行動してほしい時間の5分前、10分前などに予告することで、次の行動に切り替える準備ができます。「ゲームはあと1回ね」など回数で伝えてもよいでしょう。

選択させる

 「○○しなさい」という指示だと、子どもは強制されたと感じやすいです。選択肢を示し、1つを選ばせると気持ちよく動けます。2つ以上の選択肢を提案し、1つを選ばせましょう。子どもが選択肢以外の案を出してきたときは、実行できそうなら採用します。

「~したら、~できる」という取り決めをする

 行動や課題をする代わりに特典を与えるという合意です。特典は、お菓子や子どもがやりたがっている遊びなど、その子が好きで、親も無理なく喜んで与えられるものがよいでしょう。

 特典を与えることはよくない、特典がないとできなくなるのではないか、と思う方もいるかもしれません。でも、特典を与えることで、子どもが難しいと思っている行動に対するハードルを下げ、少しでもやってみようという気持ちにできるかもしれません。そうすれば、子どもに成功体験をさせてあげることにつながります。子どもにとっては特典が目的でも、大人が子どものできた行動を言葉で伝え、ほめることを必ず行えば、「自分はできるのだ」という自覚や自信を持たせることができます。次回の指示の時にも、行動に移しやすくなることが期待できます。

子ども同士の力を利用する

 子が複数いる場合、「○○、もう片付けてるのね」といったように、好ましい行動をしている子をほめます。そして、本人も同じように好ましい行動を始めたら、「△△も片付けてくれてありがとう」とほめましょう。ただ、「△△、見てごらん! ○○はちゃんと片付けてるじゃない」など、決して子ども同士を比べたり、特定の子を非難してはいけません。

 子ども同士の力を利用する方法は、普段からほめられることが多くなっているお子さんでは、誰かがほめられている時に「自分も同じことをすればほめられる」と思えるので、より有効です。まだほめられる機会が少ない時には、ほめられている子をうらやましく思いすぎて不満を述べることもあるので、普段からたくさんほめてあげるとよいでしょう。

イラスト

 いかがでしょう。お子さんに取り入れられそうなものはありますか? 指示を出しっぱなしではなく、子どもができた行動を言葉にし、ほめて終わることが大事です。もし子どもがなかなか指示に従えない場合は、その内容が子どもが可能な行動なのか、難しすぎる指示でないかを検討することも大切です。

「あなたが出した指示」と「それに対する子どもの言動」を書き出すためのPDFファイルを、こちらからダウンロードできます

表

担当記者がやってみると…

 「たくさんあるんだよなあ」と嫌そうな顔をして漢字の宿題を始めない息子に「いつやる? お風呂に入る前?出てから?」と聞きました。「入る前にやっちゃう」と取りかかったので、「今やるんだ、えらい」とほめ、横からのぞきながら「しっかりしたいい字だね~」と声をかけました。だんだん疲れてきた息子は「お風呂入ってこようかな」と入浴。出てから何とか終えていました。❶~❹を日替わりで試しているおかげで、ガミガミ言って自己嫌悪に陥る夜がだいぶ減りました。

 「ペアレント・トレーニング」は発達障害児の親向けに採り入れられることが多い手法で、子育てのさまざまな場面で有効です。「お母さん、いつも怒ってるよね」と言われてしまった4歳、小学3年、5年の3児を子育て中の記者が、実際にペアレント・トレーニング講座を受講。実施経験が豊富な、心身障害児総合医療療育センター(東京都板橋区)の小児科医・長瀬美香さん(50)と臨床心理士・三間直子さん(47)に、声掛けや振る舞い方のヒントをいただきながら進みます。

※「笑顔が増える ペアレント・トレーニング」は毎月第1金曜に掲載します。次回の掲載は5月3日です。