〈ペアレント・トレーニング〉8・子どもに自分から行動してほしい→「こっそり記録」でほめる機会を増やそう

(2019年5月3日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる
笑顔が増える ペアレント・トレーニング
 「ペアレント・トレーニング」の第8回は、いよいよ「子どもが自分から動けるようになる」ための練習です。前回前々回は、「子どもが気持ちよく動ける伝え方」を練習しました。今回は、さらに次のステップに進みます。「朝の登園・登校前」「宿題や翌日の準備を含めた夜のルーティン」など、ある時間帯の中でしてほしい一連の行動に対して効果があります。5歳の息子の朝の支度に手を焼いている記者が、臨床心理士の三間直子さんに「自分から動いてくれないので、忙しい朝はイライラしてしまう」という悩みを相談しました。(過去の記事一覧はこちら

悩み「自分から動いてくれない5歳の息子。忙しい時間帯はイライラしてしまう」

 5歳の息子の朝の支度に手を焼いています。食事、着替え、歯磨きがスムーズに進まないので朝からイライラしてしまいます。

解決のヒント「2週間、子どもの行動を内緒で記録してみよう」

<臨床心理士・三間直子さんから>

 忙しい時間帯に子どもがスムーズに動いてくれないと、つい「早くして」とせかしてしまいがちですね。イライラが減る方法を一緒に考えていきましょう。

 今回は、子どもの行動記録表を作ってみましょう。子どもに自分から行動する習慣がつき、親のほめる機会も増やせます。3回に分けて取り組んでいきます。

 1回目の今回は、お試しで記録表を作り、子どもに内緒で2週間記録を取ります。次回はそれをふまえた上で、記録表の手直しをします。3回目は実際に子どもと行動記録表に取り組みます。

 ①まずは、朝や就寝前など、子どもにスムーズに行動してほしい時間帯を選びましょう。その時間帯に子どもにしてほしい行動6つを、時間の流れに沿って挙げていきましょう。

 ②6つ選べたら、2週間「おためし記録表」をつけてみます。平日5日間、2週間分チェックできるような表を作りましょう。お子さんには内緒で、6つの行動を子どもがどれくらいできているかを記録します=イラスト。子どもが自分から行動できたら、ほめて〇印を書き込みます。声をかけたり一緒にやったりするとできた行動には、かっこ付きの〇印をつけます。できなくても×印や△印はつけず、空欄にしておきましょう。

イラスト

ほめるために作る→記録表のほとんどが○になってもOK!

 この「行動を表にして子どもにやらせる」という方法は、一般的にご家庭でも取り入れている方がいるかもしれませんね。ただ、多くの家庭では、「できないことをやらせたい」という、親の「してほしい」を優先した内容で作るため、うまくいかないこともあります。

 「やっているんだけど、うまくいかない」という方に意識してほしいのは、「子どもをほめるために記録表を作る」ということです。チェック欄のほとんどが○になってもOKです。子どもは、ほめられるとスムーズに動けます。「ほめられる」→「その行動が増え、他のことでも協力したくなる(=スムーズに流れる)」という循環をつくりましょう。「ちょっと難しいこと」でも、その前の行動ができてほめられることで取り組みやすくなる、という好循環を生み出すのが狙いなのです。(※「ほめるこつ」を紹介した回はこちらです

 次回は、お子さんがどれくらい行動できているかをチェックした表を基に、記録表の項目(行動の内容)を修正していきます。最初と最後の項目は、簡単にできることにしておくとスムーズに表が運用できるので、その調整のしかたを紹介します。今回、余裕があれば「できなかった行動は、どういう支援があればできそうか」も観察しておくと、項目を修正する時に役立ちます。

「子どもの行動記録表」のPDFファイルを、こちらからダウンロードできます。

朝や夜の忙しい時間帯を選び、お子さんの行動を2週間、こっそり記録してみましょう。できたことをほめるのが目的なので、できなかった時は×印や△印をつけずに空欄にしておきます

担当記者がやってみると…

 朝の登園前の忙しい時間を選び、「自分で食卓につく/7時半までに朝ごはんを終える/歯を磨く/着替える/寝間着を洗濯かごに入れる/靴を履く」という6つの行動を書き出しました。2週間、子どもには見つからないように記録してみると、声をかけないと自分からはできない行動も多かったです。

 表に〇をつけることで、自分からできている行動は、これまではほめていなかったことに気付きました。「もう着替えたんだね、早い!」「パジャマ、かごに入れといてくれて助かる~」と小まめに声をかけました。ほめられるとやはりうれしいようで、まだ最終的な解決には至りませんが、慌ただしい朝の雰囲気がぐっとよくなりました。

 「ペアレント・トレーニング」は発達障害児の親向けに採り入れられることが多い手法で、子育てのさまざまな場面で有効です。「お母さん、いつも怒ってるよね」と言われてしまった5歳、小学3年、5年の3児を子育て中の記者が、実際にペアレント・トレーニング講座を受講。実施経験が豊富な、心身障害児総合医療療育センター(東京都板橋区)の小児科医・長瀬美香さん(50)と臨床心理士・三間直子さん(47)に、声掛けや振る舞い方のヒントをいただきながら進みます。

※「笑顔が増える ペアレント・トレーニング」は毎月第1金曜に掲載します。次回の掲載は6月7日です。

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