奨学金のこと今から知っておこう③ JASSOの「返還シミュレーション」が便利です〈どんぶり一家のマネー術〉
30代夫婦がともに返済、住宅ローンへの影響も
財子 前回、奨学金では日本学生支援機構(JASSO)の第2種(貸与型・有利子)の利用者が多いという話がありました。卒業後の返済についても知りたいです。
陽子 労働者福祉中央協議会の2018年の調査によると、JASSOの奨学金の借入総額は平均324万3000円。毎月の平均返済額は1万6880円でした。
財子 低金利とはいえ、借金を背負って社会に出ることになるんですね。
陽子 家計相談に来る30代夫婦の中には、奨学金を返済中の方もいます。月1、2万円の返済でも、夫婦2人だと3、4万円に。住宅ローンを組む時、家計への負担を考え、希望していたよりも借り入れを減らさざるを得ないこともあります。
便利なシミュレーション 返済額や期間を試算
財子 借入額を決めるときは、無理なく返済できるかどうかも考えなくてはいけませんね。
陽子 JASSOのホームページにある「奨学金貸与・返還シミュレーション」は便利です。まず、学費や生活費、家賃などの「支出」と、仕送りやアルバイト代などの「収入」を見積もり、不足金額を出しておきます。それを基に、借り入れの月額、期間などの希望条件を入力すると、返還総額や月々の返済額、返済期間などが試算できます。
財子 シミュレーションで「機関保証制度を利用しますか」と尋ねられますが何ですか?
陽子 親が連帯保証人(人的保証)になることが難しい場合などには、一定の保証料を支払い、保証機関による保証を受ける必要があります。保証料は毎月の奨学金から差し引かれます。
財子 なるほど。
陽子 さまざまな事情で返済に行き詰まる場合もあり得ます。延滞すると延滞金が発生したり、クレジットカードや住宅ローンの利用が制限されたりと不利益を被ります。返済期間を延ばして毎月の返済額を減らしたり、返済を一定期間先送りしたりする方法もあるので、放置せずJASSOに相談しましょう。
監修・八木陽子
東京都在住。1男1女の母。出版社勤務をへて独立。2001年、ファイナンシャルプランナーの資格を取得後、マネー記事の執筆やプロデュース、セミナーなどの仕事をする。2005年、親子でお金と仕事を学ぶ団体「キッズ・マネー・ステーション」を設立。2008年、家計やキャリアに関する相談業務を行う「株式会社イー・カンパニー」を設立した。著書に「6歳からのお金入門」(ダイヤモンド社)、「10歳から知っておきたいお金の心得」(えほんの杜)など。
※「どんぶり一家のマネー術」は毎月第1金曜に掲載します。次回の掲載は11月6日です。