デルタ株で子どもの感染急増 小学校長「正直、学校が始まるのが怖い」 専門家「今こそオンライン授業を」
保護者の不安「学級閉鎖やクラスターが」
「至るところで学級閉鎖やクラスターが発生するのでは」。東京都江東区の公立小に小学3年の子どもを通わせる30代の母親は、25日の新学期開始を前に高性能マスクを買った。
学校では1人1台タブレット端末が配布されているが、1学期は宿題でしか使っていない。「子どもを欠席させたい親もいる。オンラインで授業を受ける選択肢がほしい」と話す。
感染者が全国最多の東京都では、20歳未満の感染者が6月は1516人だったが、7月は約3.5倍の5296人に。8月は既に1万1729人(1~20日)に達した。7月以降、全世代の感染者に占める20歳未満の割合も高まっている。
オンライン教育の意味 発想の転換が必要
都教委は17日、2学期を控えた都立高に対し、状況に応じてオンライン授業や短縮授業に取り組むよう通知。区市町村の教育委員会にも、校内の感染症対策の再確認やタブレット端末の活用、これまで以上の児童生徒の健康観察などを求めた。だが、現場では温度差も。都内の公立小に勤める50代男性校長は「区教委からは学びを止めないように通知が来ているが、基本は今まで通り。換気の徹底や児童同士が密着しないように再度注意を促そうと思うが、これ以上何をすれば…」と漏らす。
1学期は児童が登校し、タブレット端末は配布されているが、オンライン授業は一度も実施していない。「先生が感染したら学校運営もままならない。正直、学校が始まるのが怖い」
ICT(情報通信技術)教育に詳しい城西国際大大学院研究科長の鈴木崇弘(たかひろ)特任教授は「対面教育のみが重要と考えている教員がいまだに多い。子どもたちがオンライン教育を経験することは命を守るばかりでなく、将来にも役立つとの発想の転換が必要」と指摘。「家にWi-Fi環境がない子などに学校を開放するなど、子どもや教職員へのサポートの仕組みを整えるべきだ」と話した。
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