高校に「レンタル制服」 購入より2割安くサイズ交換可 埼玉県立北本高で来年度から
寺本康弘 (2021年12月25日付 東京新聞朝刊)
埼玉県立北本高校(北本市)は来年度から制服を新調するのに合わせ、購入するより安く済むレンタル制服を選べるようにする。同校によると、全国的にも珍しい取り組みという。
汚れ・破損ありでも追加費用なし
対象はブレザーとズボン、スカート。購入する場合と同じもので、代金を支払って1着を受け取り、卒業時に業者に返却する。
新しい制服の製造・レンタル制を担う「光和衣料」(久喜市)によると、価格や利用方法の詳細は調整中だが、レンタルは購入より2割ほど安くなる見通し。成長してサイズが合わなくなった場合は1000円程度の交換手数料を想定している。一方、汚れや破損がある状態でも、返却時に追加の費用負担は求めない予定という。
北本高校によると、本年度の制服の価格は男子のブレザーとズボン(夏用含む)で約5万3000円、女子はブレザーとスカート(同)で約5万1000円。素材が高級なウール100%のため他校と比べても高めだという。
デザイン重視、家庭で洗濯OKに
新調に当たっては低価格化を必須条件とし、コンペで採用された光和衣料は、ポリエステルを含む素材でデザイン性を重視しつつ、価格を抑え、家庭で洗濯もできるようにした。レンタル制は両者の話し合いから生まれたアイデアで、同社は「制服を買いたい人もいれば、借りたい人もいるだろうと考え選択肢を示したかった」としている。
制服は素材の進歩に伴い耐久性が年々向上し、3年間着ても傷みはほとんどないという。汚れもクリーニングで落とし、検品、補修で新品と大差ない状態で使えるようになる。返却された制服は、制服や車のカーシート向けの材料として再利用される予定で、衣類の大量廃棄が社会問題化する中、無駄の削減につなげる狙いもある。
同校の金室紀夫校長(57)は「制服は学校の魅力の一つ。今までより良いデザインで家庭で洗濯も可能になり、安く提供できるようになる。保護者や生徒のニーズに応えることになると思う」と話した。