家でも学校でもない「第3の居場所に」 川崎市の教師らが続ける無料の小学生向け支援「つばき学習会」
竹谷直子 (2021年12月29日付 東京新聞朝刊)
「最低限の学習をサポートしたい」との思いで、小学校教師や大学生らでつくる団体「つばき学習会」が、川崎市幸区で小学生を対象にした無料の学習支援、居場所づくりを続けている。小学校教師で代表の吉原崇徳さん(30)=麻生区=は「日々の学習が大切。その一翼を担えれば」と話している。
教える側は5倍に増え、高校生や会社員も
「今日は引き算から始めよっか」「三角形はばっちり?」。2021年12月下旬、幸区福祉協議会の一室で算数のテキストを広げて吉原さんが児童に話しかけた。
つばき学習会は2017年に設立。小学校現場で実際に働く吉原さんが、学習で取り残されてしまう子どもたちに、楽しみながら学べる、家でも学校でもない第3の居場所をつくりたいとの思いで活動を始めた。
「最低限の学習は無料で受けられるべきだ」との考えから、学習支援は無料。メンバーの会費や助成金で運営費をまかなっている。
「どのクラスでも勉強が遅れてしまう子がいた」と吉原さん。これまで児童約60人の学習を支援。当初4人だったメンバーは約20人に増えた。将来教員になりたい高校生から会社員までさまざま。市外からも参加している。
「分かりやすくて、遊びの時間も楽しい」
子どもの学習状況に柔軟に合わせられるよう基本的にはマンツーマン。勉強をした後は、カードゲームをしたり、ホワイトボードに絵を描いたりと遊びの時間もつくっている。
参加した小学4年の女児(9つ)は「算数が苦手。分かりやすくて、遊びの時間も楽しい」と笑顔。高校生のときからつばき学習会で学習支援をする大学1年生の足立陽菜さん(19)=高津区=は「子どもの成長を見られるのが楽しい」。将来、教師を目指しており「現場では手のかかる子もいると思うが、ここで気付けたことを生かしていきたい」と話した。
コロナ禍で活動規模は縮小しているが、週に1回、幸区の社会福祉協議会で学習支援を続ける。吉原さんは「週に1度の学習で劇的な変化は難しいが、こつこつやっているとできることが増えていく。教育サポート・ナンバーワンの市にしたい」と話した。