不登校の学習支援にオンライン コロナ休校を機に取り組み始めた自治体も 多様な選択肢で学びを保障しよう

長田真由美 (2020年11月27日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる

不登校の先に

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ごうと実施された一斉休校を機に、オンラインによる遠隔授業が注目されている。もとは、できなくなった対面授業の代わりにと導入されたが、不登校の子どもの学習支援にもなると期待が高まっている。一方で、継続的にオンライン授業に取り組む自治体は少なく、誰もが選択できるわけではないジレンマも抱える。
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休校期間中にオンラインで実施された小学6年の理科の授業=青森市の造道(つくりみち)小で(青森市教委提供)

「楽しかった」「同級生の顔見られた」

 「オンライン授業、楽しかった」「久しぶりに同級生の顔を見たよ」。学校再開から1カ月余り過ぎた7月。普段から多くの不登校の子と接する青森市教育研修センターの臨床心理士、太田詔子さん(37)は、うれしそうに話す中学生の姿に目を見張った。多くが1年以上、学校に行っていない子どもたちだ。

 青森市は、今春の休校期間中、教師がウェブカメラに向かって授業をするオンライン授業をスタートさせた。自宅にインターネット環境がない子どもが1割弱いたが、3密を避けて登校してもらうなど工夫。4月下旬には市立の小中学校全62校で実現した。

周囲の目を気にせず、授業受けられる

 5月下旬、現場から青森市教育委員会に「不登校の子が参加できている」と報告があった。時間などはまちまちだが、2月末時点で220人いた不登校の小中学生のうち、75%に上る164人が参加していると分かった。昨年度、同市の小学生に占める不登校の割合は0.77%、中学生は2.99%。成田一二三教育長は「20年以上対策に取り組んできたが、不登校率はほとんど変わらなかった」と言い、驚いたという。

 太田さんは、話を聞き取った中学生の声から「普段の教室と違い、周囲の目を気にせずに済むのが良かったのでは」と推測する。不登校の子が参加するかは未知数だったが、学校によっては、画面に顔を映してもいいか、指名されて発表はできるかなど事前に把握したことも下地になった。

 太田さんは「学校に行かないと勉強できない。どの子も学習の遅れを気にしている」と指摘する。青森市は今も、不登校の子が望めば自宅で授業の様子を見られる態勢を維持。スクールカウンセラーとの面談もオンラインを取り入れた。

オンライン授業参加者の7割が通学始める

 オンライン授業が登校に結びついた例は多い。10月末時点で参加した子の7割が保健室や別室への登校なども含めて通学している。一方で、成田教育長は「オンラインでも参加できない子はいる。その子に応じて、どんな方法がいいか模索している」と話す。

 小中学校のオンライン授業は導入が進んでいないのが実情だ。文部科学省が6月下旬に各教委に聞いたところ、休校中に同時双方向型のオンライン指導を行った小学校は8%、中学校は10%。見送った名古屋市教委は「学校と家庭を結ぶネット環境が整っていない」と話す。

「ライブ配信つらい子には録画活用も」

 ただ、国は「GIGAスクール構想」を掲げ、本年度中に99.6%の自治体で全小中学生にタブレット端末が行き渡る見込みだ。加えて文科相の諮問機関・中央教育審議会は10月、「令和の日本型学校教育」に関する中間まとめで、不登校の子への遠隔・オンラインを使った学習支援に触れた。こうした流れを受け、長野市の一部の小中学校では既に不登校の子に向け授業を配信している。

 学校教育の情報化に詳しい鳴門教育大大学院の藤村裕一准教授(62)は「学校は『みんな一緒』を目指すので、ネット環境がない子がいるなどすると遠隔授業が進まない」と指摘。ただ、「学校で何をしているか分かるだけで安心感は違う」と話す。ライブ配信を見るのもつらい子には授業の録画などを活用してもいい。「いろいろな選択肢を用意し、子どもの『学び』を保障して」と訴える。

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